正負の数の考え方!数学という学問に触れるにあたって

中学に入ってはじめて学習するのが「正負の数」です。それまで慣れ親しんだ数字の前に「-」の記号がつくだけです。

そうです、「-」という記号がつくだけなのですが、小学生の間にいっさい触れることのなかった「数学の材料」に触れるということは、かなりの戸惑いを覚えることでしょう。

ただ、今後中学三年間、そして、その後の生活でも「負の数」という考え方は必ずついてまわるものですし、これをまずはしっかりと理解しなければ、中学の数学を学ぶうえではかなり厳しさをともなってしまいます。

「数学」という学問の入り口です。中途半端な理解のままで放置せずに、確実に理解することからはじめましょう。また、既に数学の学習が進んでいる人も、もう一度確認をする意味でも読みすすめてみて下さい。

正負の数の考え方〜数学という学問の癖

はじめに、数学における「癖」について話したいと思います。

例えば、小学生で学習する算数の世界では、

【2-1=1】

という計算式に対する考え方として、【2から1をひく】というようなシンプルな捉え方だけをしていました。これは数字というものは必ず前に「+」記号がついている、という理解を前提に基づいていました。

全ての数字の前には「+」記号があることから、わざわざ「+」記号を書くことを省略していたのです。

しかし、これからの学習する数学という分野では、数字の前に書かれている記号は必ずしも「+」記号だけではなく、「-」記号がくることもあるのです。このような理解を前提にした場合、先程の数式は

【(+2)-(+1)=(+1)】

という引き算であると理解することができます。

さらに、絶対という訳ではありませんが、数学においては、基本的に計算式というものは「足し算」で構成することが一般的なマナーであると考えることが多くなります。

つまり、【2から1をひく】というこれまでの考え方を足し算で表現したい、というのが数学一般の要請なのです。そして、この場面で、「-」記号が役立つことになります。【2から1をひく】のではなく、【2に「1へらす数」をたす】というように読み替えたいのです。そうすると、

【(+2)+(-1)=(+1)】

という表現方法になるわけです。

なぜ、わざわざ足し算で表現したいがために数字の前に「-」記号、つまり、負の数というものを考えてわざわざ複雑にするのだ、と思われるかもしれませんが、残念ながらこればかりは学習をすすめて経験を重ねてもらわなければ分からないでしょう。

ただ、単純なイメージで、足し算と引き算ではどちらの方が楽でしょうか。おそらく足し算であると考える人が多いと思います。この判断から、数学では優先的に足し算で数式を構成する癖があるわけです。そして、そのために「負の数」というものを考える必要が生まれたということを念頭に置くとよいでしょう。

負の数について

それでは具体的に見ていきましょう。負の数を理解するにあたっては、おおまかにわけて二つの方法があります。一つは数直線を利用して、視覚的なイメージをもつ方法です。

そして、もう一つは、数学という学問の癖で述べたような観念的な理解をする方法によります。さらに、この観念的な説明には二通りのものがあります。

視覚的なイメージをもつことは簡単ですし、そのようなイメージだけを頭に入れてしまうことも大切なことでしょう。

ただ、今後の学習を踏まえた時、どうしても負の数とは何たるか、という理解をしっかりとしておくことが必要となります。少し難しいかもしれませんが、辛抱強く、以下を読み進めて下さい。

数直線から作るイメージ

正負の数を学ぶ上では、まずこのような数直線が用意されることが多いでしょう。右に進めば進むほど、数字が大きくなる数直線を設定します。

算数の世界は、0から右側だけしか登場しませんでした。0から1目盛右に進むと「+1」、0から2目盛右に進むと「+2」・・・というように学習したのではないでしょうか。この「右に進む」のが、「正」の世界です。

今まで0から右側だけに限定されていた世界が、左側にも出現するのが「負」の世界です。

ただし、注意が必要なのが、決して「左に進む」と理解するのではありません。「左に戻る」と理解しましょう。0を起点にして、進んでいれば正、戻っていれば負、という理解をすることによって混乱が少なくなります。

中学一年生最初の中間テストでは、おそらく数直線の下に数字を書き込む問題が出題されるでしょう。何度も図を眺めていれば決して難しくはないので、しっかりと得点源にできるようにしましょう。

負の数に対する説明1

上で醸成したイメージに対して、しっかりとした理解を加えましょう。

一つの概念を理解するには、それと対照的な概念との比較のもとに理解することが近道です。「負の数」の対をなすのは「正の数」ですね。では「正の数」とは何でしょうか。

例えば、「+2」という数字の意味をしっかりと考えてみましょう。これは、「2という大きさが『ある』」という意味です。つまり、正の数は、「存在していること」を表す記号なのです。

とすると、「-2」という数字にはどのような意味があるでしょうか。

それは、「2という大きさが『ない』」という意味になります。つまり、負の数は、「存在していないこと」を表す記号なのです。

【(+2)+(-1)=(+2)】

という計算式を、意味を加えた上で読解してみましょう。つまり、

「2という大きさが『ある』」ときに、
1という大きさが『ない』、」
状況を加えたときにどうなるでしょうか。
1という大きさが『ある』」

という状況が導かれます。

それぞれの記号をしっかりと日本語に読解すると、このようになります。簡単な数式ですから、わざわざこのような作業をする必要を感じにくいかもしれませんが、今後のために、絶対に疎かにしないでください。

負の数に対する説明2

もう一つ、先程の数直線とあわせた理解の方法があります。それは「0からの距離」という観点からの説明です。その観点から、正負の数字について説明を加えると以下のようになります。

「+2」⇒0から(右に)2進むこと
「-2」⇒0から(左に)2戻ること

「+2」にも「-2」について、どちらにも「2」という数字が書かれていますね。これはあくまでも「0から2離れている」ということを意味するに過ぎません。

そして、数直線の「どちらの方向に」2離れているのか、ということを示す記号が「+」と「-」なのだと理解するのです。数直線によって視覚的なイメージを醸成する際にこの説明を加えてもよいやもしれません。

この理解は、例えば今後学習する絶対値を理解する際に必要となる考え方でもあります。

正負の数、数学という学問に触れるにあたって

一つ大切なことがあります。

数学では数字を扱うことから、どうしても計算をする分野であると考えがちです。もちろんそれはある意味において正しいことです。

ただ、数字というものも記号です。そして、何故記号を利用するのか、ということを考えて下さい。

私たちが普段一番利用する記号は何でしょうか。それは「言葉」です。日本語も英語も、記号を利用することによって、私たちは何かを伝えるためにそれを表現しています。

数学でも同じです。数学では、何かを伝えるために、数字を利用しているだけなのです。つまり、日常生活における言葉と同じ役割を、数学では数字が担ってくれているというわけです。

日常では言葉の意味をしっかりと考えるでしょう。それと同じように、数学では数字の持つ意味、ひいては計算式に含まれる意味をしっかりと考えることが当然に必要となるのではないでしょうか。

そして、「正の数」「負の数」という概念を理解することは、この言葉を知ることに他なりません。しっかりと理解することがどうして必要となるのか、分かっていただけたかと思います。

 

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