一次関数・二次関数のいずれにおいても、与えられた関数の方程式を分析することによって、グラフの性質決定をしなければなりません。
さらに、その分析の際には、特に二次関数の場合には、中学生数学での重荷の一つである因数分解等の数的処理を当たり前のようにこなす必要があるのです。
二次関数とは
二次関数とは、下のような一般式で表すことのできる関数のことを言います。このように、二種類の表現方法があります。
2.y=a(x-p)²+q
(a≠0)
特に、二つ目の式は、二次関数のグラフを書くときに、その性質を決定する上で非常に有効な形となるので、覚えておいてください。二次関数を図示する際には、自分でこの形を導く必要があります。
二次関数のグラフ
これまで習ってきた関数と異なり、二次関数のグラフの形状はかなり特殊なものがあります。そこで、基本的なグラフの形状について、その一般式との関係で説明を加えたいと思います。
先程の一般式「y=ax²+bx+c」において、a=1、b=0、c=0の場合、つまり、y=x²の二次関数をグラフに書くと下の図のような形状になります。
また、a=-1、b=0、c=0の場合、つまり、y=-x²の二次関数をグラフに書いた場合は下の図を参照してください。
このような曲線のことを放物線と言います。a<0の場合には上に凸の形状、a>0の場合には下に凸の形状の形状をとる点で特徴的です。
以下では、y=x²の下に凸のグラフについて説明します。
二次関数のグラフは図に示したように、かなり特殊な曲線を描くことになります。したがって、その形を完璧に正確に表現することは不可能となります。
そこで、二次関数の概形を座標上で特定するための道具が必要となるのです。その道具とは、「二次関数の頂点」と、「軸」、という概念です(これに加えて、正確なグラフを書くためには、もう一点、二次関数が通る点を求める必要があります)。
この二次関数において、放物線の先端部分、その点を二次関数の頂点と言います。そして、その頂点のx座標を通るy軸に平行な直線のことを軸と言います。この軸を起点として、当該二次関数は線対称となるという性質があります。
そして、先程の一般式「y=a(x-p)²+q」の形は、この頂点を直接的に読み取ることができる二次関数の式となっています。つまり、
y=a(x-p)²+q
という二次関数のグラフの頂点の座標は(p、q)である、とされます。上記で示したグラフ「y=x²」は
y=x²
y=(x-0)²+0
と表現することもできますね。したがって、頂点は(0,0)であると読み取ることができるのです。
二次関数の問題について
前項では、シンプルに当該二次関数が原点を頂点とする場合について考えましたが、むしろこれは極めて例外的な場面でしょう。
もっとも、中学数学では、二次関数が原点を頂点としない場合が問われることは少なく、先の一般式「y=a(x-p)²+q 」を利用しなければならない場面は極めて限定的であるとも言えます。
したがって、まずは基礎の基本的な形に慣れることに主眼を置きましょう。
頂点を原点としない二次関数
偏差値の高い高校を目指している方のため、また、応用問題についても理解を深めたいという方のために、頂点を原点としない二次関数についても簡単な解説を加えておきます。
このグラフの特徴を読み取ってみましょう。
頂点(-2、-4)、軸x=2、そして、二点(0,0)と(-4、0)を通る二次関数であることがグラフより明らかです。今回は一つのアプローチから二次関数の式を求めてみましょう。
二次関数y=a(x-p)²+qについて、このグラフの頂点が(-2、-4)であることから、p=-2、q=-4となるので、
y=a(x-(-2))²-4
となる。そして、この関数が原点(0,0)を通ることから、これを代入すると、
0=a(0+2)²-4
4a=4
a=1
したがって、求める二次関数の式は、y=(x+2)²-4、となります。
二次関数の最大・最小を求める問題
二次関数の問題では、その最大・最小を求める問題が出題されます。
つまり、二次関数について、xの範囲が問題において限定されます。そのxの範囲内で、最大の値となるy、最小の値となるyをそれぞれ求める必要があるのです。
この問題を解く上では、どうしてもグラフの形状を考える必要がありますし、加えて、問題で指定されるxの範囲とグラフの関係がどのような位置関係にあるのかを捉えることも重要となります。
応用問題となりますので、二次関数のグラフについての基本的な知識が定着してから、この問題に触れるようにしてください。
- -2≦x≦1
- -1≦x≦1
- 1≦x≦2
- 1≦x
最大値・最小値を考える際には、必ずグラフを書いた上で、実際に問われている範囲の二次関数をなぞる作業を行ってください。視覚的に捉えることで誤りが減ります。
y=x²のグラフ
1の解答
最大値4(x=-2のとき)
最小値0(x=0のとき)
この場合の注意点としては、最小値をとるyの値が頂点となるということです。xの範囲があるからと言って、xの大小関係とyの大小関係が常に一致するわけではないのが、二次関数の最大最小を求める際の難しいところです。
また、最大値についても、x=-2のときと、x=1のときで、それぞれyの値を比べた上で、どちらが大きいのかを判断する必要があります。
2の解答
最大値1(x=±1のとき)
最小値0(x=0のとき)
最小値に関する注意点は先程と同じです。それよりも、最大値をとるxが二つある点を落としてはいけません。図を正確に捉える必要があります。
3の解答
最大値4(x=2のとき)
最小値1(x=1のとき)
xの範囲の両端がそれぞれ最大値と最小値の時の値となっていますが、これまで見てきた通り、あくまでもグラフを確認して、特に頂点の値との兼ね合いをしっかりと判断する必要があります。
4の解答
最大値 解なし
最小値1(x=1のとき)
放物線という性質上、xの範囲に限定がなければ最大値を求めることができない場合があります。今回はxの上限が設定されていないことから、最大値を求めることはできません。
最大・最小の問題は、上に凸の二次関数の場合でも当然に問われることになります。その場合でも、グラフを書いた上で、しっかりと範囲を視覚的に捉える作業を行えば解答に至ることができます。各自、練習をしておいてください。
二次関数と直線の交点を求める問題
先程一次関数の範囲で、二直線の交点を求める問題を検討しました。それと同じく、二次関数の問題でも、二次関数と直線の交点を求める問題が出題されることがあります。
基本的な着眼点は直線の交点を求める場合と同じです。つまり、交点が二つの式を充たすことに注目して、両者の式を連立させればよいのです。
二次関数y=x²と一次関数y=3x+4の交点を求める問題ですが、上述のように、交点であるという性質から、両者を連立させることによって解答を求めることができます。つまり、
x²=3x+4
x²-3x-4=0
(x-4)(x+1)=0
x=4、-1
したがって、求める交点の座標はそれぞれ、(4、16)(-1、2)となります。
「交点」の意味さえわかっていれば、直線同士であろうと、二次関数と直線であろうと、場合によっては、二次関数同士の交点であろうと、同様の観点で処理することができます。
式の展開については因数分解を理解していれば問題ないはずです。因数分解に自信のない方は下記リンクを参考にしてみてください。
参考リンク:因数分解の解き方が分かる!知っておきベき5つの基本公式と勉強のコツ
さいごに
一次関数はまだしも、二次関数となると、その形状の特殊性から苦手意識をもってしまうかもしれません。
しかし、受験でも確実に問われますし、必須の分野であるからこそ、その内容はどうしても難しいものになってしまいます。
まずは確実に基本的な性質決定をできるように、そして、特定することができた関数を正確にグラフに図示することができるようになることがファーストステップとなります。
くれぐれも曖昧な箇所を作らずに、丁寧に理解を積み重ねて下さい。