概数・およその数の範囲は、最低限の注意深さをもって、いくつかのやり方についての処理法についての練習を重ねることによって、確実に正解を導くことができる分野です。
比較的簡単な分野ですので、丁寧な学習によって、得点源とすることを目標としましょう。
概数とは?
概数とは、およその数という目次が付せられることもあるように、おおよその目算を示す数字のことです。厳密な数字を必要としない場合などに利用されます。
例えば、日本の人口はおよそ1億2千万人であると表現されることがありますが、これはまさに概数です。
時々刻々と変化する日本の人口について、厳密な数字を把握することは難しいでしょうし、また、基本的には詳細な数字が要求される場面は少ないと思われます。
このような場合に、およその数を利用することによって、情報の提供が行われることになります。
概数の問題と求め方
概数を求める方法には、
- 切り捨て
- 切り上げ
- 四捨五入
の三種類があります。この三種類を使うことによって、必要とされるおよその数を求めることになります。以下では、それぞれの方法について説明します。
実際に問題文を例に概数を求めてみましょう。
12345という五桁の数字を、千の位までの概数にしなさい。
概数の求め方 ~切り捨て~
切り捨てとは、必要とされる数字よりも小さい部分を「無いもの」とみなすことによって概数を導く方法です。
具体的には、本問の場合、千の位までが必要とされていることから、百の位以下の数字については不要、ということになります。
この結果、345の部分については、0と扱ってよく、したがって、12000が求めるべき概数である、ということになります。
概数の求め方 ~切り上げ~
切り上げとは、必要とされる数字よりも小さい部分を「有るもの」とみなすことによって概数を導く方法です。少し語弊のある表現ですが、以下の流れを読むことによって理解をしてください。
本問の場合、千の位までが必要とされていることから、百の位以下の数字に注目します。本問では、345がこれに該当します。そして、この345について、完全に「有るもの」つまり、「1000有る」とみなします。
この結果、345の部分については1000と評価されることになり、したがって、13000が求めるべき概数である、ということになります。「0ではない」ことから、必要とされる桁数につき、完全に満たしている、という処理をするわけです。
概数の求め方 ~四捨五入~
四捨五入とは、必要とされる数字よりも小さい部分に注目して、どちらに近いのかを判断することによって概数を導く方法を指します。
本問の場合、千の位までが必要とされていることから、それよりも一つ小さい百の位の数字に注目します。そして、その百の位の数字が「0~4」であれば切り捨て、「5~9」であれば切り上げの処理をすることになります。
つまり、本問では検討すべき百の位の数字は「3」ですので、切り捨てのルールを適用することになります。
したがって、四捨五入によって求めるべき概数は12000ということになります。
概数を求める際の注意点
概数の問題と求め方について説明しましたが、そもそも、どの桁数をターゲットにするのか、という点については注意が必要です。例えば、12345の五桁の数字が問題となっている場合、
- 千の位までの概数にしなさい ⇒ 百の位をターゲットにする
- 千の位を四捨五入しなさい ⇒ 千の位をターゲットにする
- 上から二けたの概数にしなさい ⇒ 三桁目の百の位をターゲットにする
このように、様々な問われ方があり得ます。それぞれの場合に、どの桁をターゲットにして概数処理をすれば、結果として必要な概数となるのか、という点には注意が必要です。
問題文をよく読んで間違いがないように練習が必要です。
最後に
例えば11111+11111の答えを、四捨五入によって千の位までの概数にしなさい、という問題が出された際に、
11111+11111=22222 ⇒ 22222の百の位を四捨五入して22000
という処理をするのか、
11111の百の位に注目して四捨五入すると11000 ⇒ 11000+11000=22000
二通りの解法があり得ます。
今の指導案の元では、基本的に概数が問われる場合には、最初に全ての数字を概数にしてしまう後者が採用されているようです。およその数を求める、という趣旨が貫徹されているようです。
したがって、まずは、3で述べた各概数の処理法(切り捨て・切り上げ・四捨五入)を定着することが先決です。難しい範囲ではありませんので、丁寧に問題文を読む癖をつけて、正確な処理を心掛けさせるとよいでしょう。