平方根はこれで完璧!平方根の定義からルートの計算、近似値の問題の解き方まで

平方根という分野は中学三年生にとっての鬼門です。

ただ、これがなぜ中学生にとって難しいとされるのかという点については、少しだけ誤解があるようです。

一般的には、ただでさえ難しい数学で、「√という概念」を数式の中で利用しなければならないことが、習得を困難にしている要因であるとされがちですが、実はそれだけではありません。

平方根が難しい理由は、今までに培ってきた数字に対する常識に修正を加える必要があることにあるのです。

例えば、それまでは「2=2」という当たり前の常識だったものが、「2=4の平方根の一つである」という、別の観点からの理解を必要とする点です。

学習過程において、それまでの常識、しかも相当程度の間絶対的なものとして通用してきた常識に対して変更を加える必要が生まれた場合、誰しもが戸惑うのは当たり前のことです。

したがって、この新たな知識を常識とすることが第一の目標となるでしょう。

そして、それが叶った際には、平方根を学習する上での一つの道具でしかない「√」に対する戸惑いもいくらかは減算されるはずです。

平方根とは何か?

平方根の定義

平方根に対して与えられる一般的な定義は、

  • 2乗するとaになる数を、『aの平方根』という
  • x²=aを成り立たせるxを、『aの平方根』という

というものです。これから学習を進める段階にあたっては、この定義を暗記する必要はありません。

それよりも具体的なイメージを掴むことが先決です。ただし、学校の定期テストでは、指導にあたっている先生の好みにもよりますが、この定義を穴埋めの形で出題することもあります。

したがって、ある程度学習が進んで、平方根の意味内容の理解が進んだ際には、暗記をした方がよいでしょう。

平方根の説明

前述の定義を与えられたからといって、平方根を理解できるわけがありません。具体的な場合についてイメージを作ることを優先しましょう。

2×2=4

この式が成り立つことは中学生にとっては容易いでしょう。2を二乗したら4になります。このような関係にある時に、「2は4の平方根である」と表現をするのです。

また、4について言えば、

(-2)×(-2)=4

という計算式も成り立ちます。この場合、(-2)を二乗したら4になります。したがって、「(-2)は4の平方根」と表現されます。

注意点

平方根というものがどのようなものであるかは、わかりましたでしょうか?なお、試験で問われる際には、

「4の平方根は何か。」

という形式によって問われることが多いです。

この場合に、「2」だけを答えるのでは充分ではなく、「-2」を忘れてはいけません。

基本的に、中学生の定期テストにおいてどちらかを欠落させてしまった場合、部分点も与えられない傾向があるように思います。正負のどちらも忘れないようにしましょう。

したがって、本問に対する解答は、「±2」ということになります。

ルート記号(√)の必要性

平方根の問題点

4の平方根 ⇒ ±2
9の平方根 ⇒ ±3
16の平方根 ⇒ ±4

100の平方根 ⇒ ±10

この表のように、全てが整数で表現される範囲であれば、これまでに勉強した内容のみで説明することができます。

しかし、例えば、5についてはどうでしょうか。

4ならば、±2を二乗すれば4になる、ということが簡単にわかるので、4の平方根は±2であることがすぐにわかりますが、「±○を二乗すれば5になる」という場合の、○に該当する数字とは何でしょうか?

ルート記号(√)の登場

このように「±○を二乗すれば5になる」という場合の、○に該当する数字の見当がつきにくい場合に、「±√5を二乗すれば5になる」という表記方法をとるのです。

そして、この場合に、「5の平方根は、±√5である」という理解となるのです。下の表を参考に、定義のイメージを定着させてください。

平方根の変換表

4の平方根 ±2(±√4)
5の平方根 ±√5
6の平方根 ±√6
7の平方根 ±√7
8の平方根 ±√8
9の平方根 ±3(±√9)

平方根の計算方法

√(ルート)の変換方法

ここまでで平方根の考え方を理解できた場合は、√の計算に挑戦してみましょう。その場合の前提として、√を変換する必要があります。

例えば、上の表における4の平方根の部分を注意してみて下さい。4の平方根は±2ですが、同じく±√4とも表現できています。つまり、以下の式が成り立ちます。

±2=±√4

√がからむ問題では、この場合のように、まずは±√4を±√2に変換する必要があります。√の中を外に出す作業です。

±√4
=±√(2×2)
=±2

という流れとなります。√の中を二乗で表現できる際、それに関しては、上述のように√外に出すことができるのです。

±√8について考えてみよう

では±√8のルートを変換を行ってみます。

±√8
=±√(2×2×2)
=±2√2

このように、8=2×2×2のうち、2の二乗分だけは、外に出すことができます。

平方根の足し算

ここまでの下準備ができれば、√の計算をすることができます。

√2+√8
=√2+2√2
=3√2

このような計算式が成立することになります。

√の中身が違うままでは、計算をすすめることはできません。「二乗して2となる数字」と「二乗して8となる数字」を足すことはできません。

この問題を、「二乗して2となる数字」と「二乗して2となる数字が二つ」を足す、というように読み替えて、それによって、「二乗して2となる数字が三つ」となる、という処理をするわけです。つまり、

√2+√3

という数式があれば、これ以上計算することはできません。

平方根の引き算

では次に同じ問題で平方根の引き算を考えてみましょう。

√2-√8
=√2-2√2
=-√2

足し算と同じ要領で、引き算も完了です。イメージとしては、√部分については、これを記号であると考えると容易に理解できるでしょう。

平方根と近似値

近似値とは

平方根の分野に関連する問題として、近似値による処理が求められることがあります。

近似値とは、おおよその数字、という程度の理解で充分です。また、結局は最終的に代入することが求められるだけですので、基本的には√の処理方法の理解を深めることの方が優先事項となります。

平方根の近似値を利用した問題

√2=1.4とする場合、√8の値を求めよ。

このような形での出題となります。

√8
=2√2

という部分に加えて、

=2×1.4
=2.8

ここまでの処理を求める出題意図です。

最終的に√で表現される数字は、小数点が無限に続くので、正確な数字を羅列しきることは不可能です。

しかし、そういった場合であったとしても、おおよその数が知りたいという要請にこたえるために、近似値という処理方法が利用されるだけです。

基本的には、最終的な代入プロセスのみが加算されるだけですので、怖がる必要はありません。

平方根のまとめ

何度も述べましたが、√の計算等を理解する前に、まずは平方根とは何か、何故√記号が必要とされるのか、という点の理解を深めることが重要です。

もちろん、学習が進めば、√の計算は、要はただの記号の処理と等しく感じるでしょうし、その段階となればわざわざ平方根概念から捉えなおす必要はなくなるでしょう。

しかし、入試問題等で、平方根について普段とは違った問われ方をした時などに、自分で落ち着いて基本にさかのぼって考えることができれば、解法の糸口が見えるという場面に遭遇することも考えられます。

そのような場合に備える意味でも、基礎からの理解を大切にする分野と言えるでしょう。

 

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