溶媒を加えて質量パーセント濃度を求める
【問題2】
質量パーセント濃度が6%の食塩水が150gあります。この食塩水に水を50g加えたとき、何%の食塩水が何gできますか。
解法のポイント
少し複雑に感じるかもしれませんが、問題で与えられている条件から求めることができる「溶質」「溶媒」「溶液」を一つずつ整理して、指示通りに話を展開していけば何も難しくありません。
まず、最初に与えられた6%の食塩水150gについて、その内容について分析をしてみましょう。公式を変換するところからはじめましょう。
公式の変換
溶質の質量=溶液の質量×質量パーセント濃度(%)
溶質の質量=(溶質の質量+溶媒の質量)×質量パーセント濃度(%)
上で検討した二つの公式は、「溶液」か「溶質+溶媒」の違いはあれど、いずれも、あくまで質量パーセント濃度を出すための公式でした。
これらを少し変形すれば、上のように、溶質の質量、つまり、溶けているものを直接出すだめの公式を導くことができますね。
これを暗記してしまってもいいですし、最初に学習した公式だけを暗記して、導き出しても問題ありません。
最初の食塩水の計算
150(g)×0.06=9(g)
つまり、最初の食塩水について検討すると、溶質である食塩は9gであることがわかります。そして、
150(g)-9(g)=141(g)
これによって、最初の食塩水の溶媒である水が141gであることがわかります。これで最初の食塩水について、全ての要素がわかりました。
最初の食塩水
溶液(食塩水) ⇒ 150g
溶質(食塩) ⇒ 9g
溶媒(水) ⇒141g
質量パーセント濃度 ⇒ 6%
これに対して、問題での作業に進みます。つまり、本問では水50gを加えることから、
水を加えたあとの食塩水
溶液(食塩水) ⇒ 150g+50g=200g
溶質(食塩) ⇒ 9g(変化なし)
溶媒(水) ⇒141g+50g=191g
質量パーセント濃度 ⇒ ?%
このようになることは理解できますか?
水が50g増えることで、溶液全体の質量も50g増えますね。この50gの増加は、溶媒に関するものですので、溶媒である水の質量も50g増えることになります。
もっとも、食塩については何の指示もないことから、もとの9gのままです。
本問の答え
ここまで準備をすることで、ようやく水を加えたあとの食塩水の質量パーセント濃度の計算に進むことができます。すなわち、
質量パーセント濃度(%)=9÷(9+191)×100
=9÷200×100
=4.5%
以上より、質量パーセント濃度4.5%の食塩水が200gできることになります。
質量パーセント濃度から溶媒、溶質の量を求める
【問題3】
質量パーセント濃度8%の食塩水を300g作るには、水何g、食塩何gが必要でしょうか。
解法のポイント
問題をパターン化することも大切ですが、公式に対するしっかりとした理解と、溶質・溶媒・溶液に注目するという視点が確立していれば、この問題のように別の角度から問われたとしても難しくはありません。
今回は、溶液全体の質量はわかっていますが、溶媒・溶質の質量がわかっていません。にもかかわらず、問題文が非常に短いことから、戸惑ってしまうかもしれません。
しかし、大前提を思い出してください。溶液=溶質+溶媒、ということをしっかりと意識することができれば少し前に進めるのではないでしょうか。
本問の答え
水の質量をx、食塩水の質量をy、という形で方程式を作ってみましょう。
x+y=300
y=300×0.08
あるいは、単純に、300×0.08によって、溶質である食塩がわかるな、と理解してしまっても早いかもしれません。いずれにせよ、求めるプロセスは同じです。
これらを計算すると、x=276g、y=24g、となります。
したがって、水が276g、食塩24gをまぜることで、8%の食塩水300gを作ることができる、ということになります。
2つ溶液を混ぜて、質量パーセント濃度を求める
【問題4】
質量パーセント濃度7%の食塩水が150g(溶液A)、質量パーセント濃度5%の食塩水が50g(溶液B)ある。これらを混ぜたとき、質量パーセント濃度何%の食塩水が何gできるでしょうか。
解法のポイント
最後に、少し複雑に見える問題について、検討しましょう。
このように、濃度の問題は、一つの溶液について、様々な角度からその構成要素の質量あるいは濃度を求めるか、二つ以上の溶液を混ぜるという作業工程においてどれかの質量あるいは濃度を求める、という問題に大きくわけることができるでしょう。
後者の場合、難易度は別にして、整理する情報が増えてしまいますので、そういった意味で注意が必要です。
本問について、まずは各溶液について整理してみましょう。
溶液Aについて
150(g)×0.07=10.5(g)
150(g)-10.5(g)=139.5(g)
つまり、
溶液(食塩水)⇒150g
溶質(食塩)⇒10.5g
溶媒(水)⇒139.5g
溶液Bについて
50(g)×0.05=2.5(g)
50(g)-2.5(g)=47.5(g)
つまり、
溶液(食塩水)⇒50g
溶質(食塩)⇒2.5g
溶媒(水)⇒47.5(g)
このように整理できますね。そして、これらを混ぜ合わせた溶液Cについて考えます。
溶液Cについて
- 溶液(食塩水)⇒150(g)+50(g)=200(g)
- 溶質(食塩)⇒10.5(g)+2.5(g)=13(g)
- 溶媒(水)⇒139.5(g)+47.5(g)=187(g)
ということになります。
本問の答え
これまでの情報から溶液Cの質量パーセント濃度は、
13(g)÷200(g)×100=6.5(%)
以上より、本問では二つの溶液を混ぜることによって、質量パーセント濃度6.5%の食塩水が200gできることになります。
さいごに
いかがでしたか。質量パーセント濃度の問題は、一見複雑に見えるかもしれません。しかし、それぞれの問題で行った作業について思い返してみて下さい。
問題で与えられた溶液について、その内部について(つまり、溶質・溶媒)分析することをきっかけに、ほとんどの問題を処理することができた(あるいは処理するきっかけをつかめた)のではないでしょうか。
実は、出題者としても、問題のバリエーションを作ることが難しいことから、頭を悩ませる分野でもあるのです。つまり、上の公式について習熟することによって、そして、練習を重ねることによって、入試においても既視感をもたせることも可能なことなのです。
満点を目指すことも充分に可能な分野であると言えます。
したがって、例えば今回は四つの問題を検討しましたが、それぞれの問題において、別の要素を求めることができるか、自分で様々な角度から一つの問題を吟味しなおす練習をしてみるのもよいでしょう。
そのような作業をすることによって、溶液に対する理解がどんどん深まります。苦手意識を持たずに頑張って練習を重ねて下さい。