
理科と言えば、社会と同じく単純な暗記科目のイメージがあるかもしれません。
もちろん、微生物の名前を覚えたりといったような暗記の作業は当然あるのですが、実はそれだけではなく、覚えた知識を利用して計算をしたり、あるいはグラフを読み取ったりと、どこか算数・数学と似た頭の使い方を必要とする部分があることは否めません。
理科における計算問題とは、必然的に「なぜ、そのような計算をすることによって求めることができるのだろうか」ということとリンクさせながら記憶しないと、複雑な問題に対応することができません。
また科目の性質上、ほとんどの大半が「文章問題」のような形式によって出題されることになります。そこで、それぞれの分野について、しっかりと内容を理解することからはじめましょう。
今回は、そのような理科の中でも、特に理解を前提とした計算が問われる「密度」について学んでいきたいと思います。
密度とは
例えば、狭い東京にはたくさんの人が住んでいますが、広大な田舎にはそれほどたくさんの人がいませんね。
例えば、同じ面積の中に、東京にいる人たちを全て詰めこんだ時と、田舎で生活している人にそこに入ってもらった時に、混雑の具合は全然違います。
このような人口の混雑具合に注目した場合、それを「人口密度」と言います。人口についての密度という意味です。
つまり、密度とは、ある対象の混み具合の程度を考える指針なのです。
密度の定義
このような考え方を理科で使用した場合、「ある物質の単位体積あたりの質量」という観点からの検討を要することになります。
つまり、ある物質1㎤(立法センチメートル)に対して、どれだけの重さなのか、ということを考えるのです。
まずはイメージが大切なのですが、同じ大きさ(体積)の鉄と綿あめがあったとしましょう。
両者が同じ大きさ(体積)であるとき、その重さは大きく異なることは想像できるでしょう。
この時、わたあめの密度は鉄の密度に比べて小さい、ということになるのです。同じ大きさ(体積)の中に、どれだけの綿あめ・鉄が密集して入り込んでいるのか、というのを測るための考え方が「密度」です。
密度を計算する上で前提知識
ここで出てきたように、密度を勉強するには、「体積」「質量」という概念をしっかりと定着させておく必要があります。
この二つを使って、密度を求めることになるからです。理解では、基本的な定義を確実にした上で、知識を積み重ねることが習熟のポイントとなります。
体積とは
ある物質が空間においてどれだけの大きさ占めるのか、を測る指標のことを言います。単純に考えるならば、手に持った時の「大きさ」のことであるとイメージすれば良いでしょう。
質量とは
ある物質の動かしにくさ、であると考えられます。もう少し簡単に言うなら、手に持った時の「重さ」のこととイメージすれば良いでしょう。
密度の単位
密度の単位を学ぶにあたっては、以下の3つの単位について理解しましょう。
1.単位体積の単位
一般的に、単位体積とは、1㎤(立法センチメートル)という大きさのことを言います。
1辺が1㎝の立方体の大きさのことです。この入れ物の中に、どれだけの質量までを詰め込むことができるのか、というのが理科における密度のイメージです。
2.質量の単位
質量の単位とは、基本的にg(グラム)で提示されることが多いでしょう。問題においてkgの表記で書かれていた場合には、gに単位換算しましょう。
3.密度の単位
1と2を合わせた、つまり、単位体積あたりの質量を計算する密度の単位は『g/㎤』となります。
密度の求め方と公式
密度を求めるには、
密度=物質の質量÷物質の体積
という計算式によって求めることができます。これを単位についてのみ注目してみれば、
g÷㎤=g/㎤
という形が導かれます。つまり、密度の単位を忘れてしまっても、密度の求め方さえ覚えておけば、問題なく導くことができるのです。
実際の問題では、密度が問われる場合もありますが、場合によっては物質の質量を求めなければならなかったり、物質の体積を求めなければならないこともあります。
そのような場合であったとしても、この公式を変形させることによって導くことができます。
密度の公式の変換
- 密度=物質の質量÷物質の体積
- 物質の体積=物質の質量÷密度
- 物質の質量=物質の体積×密度
という関係にあるのです。どのようなバリエーションで問われたとしても、数式に関する基本的な考え方が身についていれば問題ありません。
また、忘れてしまっても、単位に注目して導くこともできますし、あるいは一番前提の「質量÷体積で密度が求まる」ということだけを記憶しておいても導くことができます。
基本的な記憶と応用力が重要です。
では早速、密度の公式を利用して問題を解いてみましょう。
密度を求める問題
体積20㎤、質量120gの物体の密度を求めなさい。
ここまでの話を理解できていれば簡単ですね。密度=質量÷体積で求めることができるのですから、
120(g)÷20(㎤)=6(g/㎤)
ということになります。なお、1(g/㎤)、つまり、密度が1である物質というのは、「水」がそうであると定義されています。
水の密度を1とすることによって、他の物質の密度を測っているのです。つまり、この問題における物質の密度は、水の6倍だということがわかります。
密度から質量を求める問題
密度1.2g/㎤の物質について、この物質60㎤の質量を求めなさい。
この場合には、質量を求める必要があることから、質量=密度×体積の公式を利用して、
1.2(g/㎤)×60(㎤)=72(g)
ということになります。
密度から体積を求める問題
密度2.4g/㎤の物質について、この物質120gの体積を求めなさい。
この場合には、体積を求める必要があることから、体積=質量÷密度の公式を利用して、
120(g)÷2.4(g/㎤)=50(㎤)
ということになります。
さいごに
最初は難しく感じるかもしれませんが、丁寧に理解すれば、その計算公式は極めて簡単であるとわかってもらえたと思います。
また、いきなり理解分野における密度を考えるのではなく、人口密度など、考えやすいものからイメージさせることで、知識の定着が効果的となります。
理科では興味を持つことが大切です。そして、科目の性質上、日常生活に関係があることが多いです。
例えば、今回の密度に関するものであれば、「密度の性質を利用して、金の真贋を見極める方法」など、色々なものがあるでしょう。
(これは水銀の密度に対して、金の密度が大きいことから、水銀の中に当該物質を入れた時に、それが沈めば本物、浮いてしまうと偽物であると判断する、というものです。興味があれば調べて下さいね)
理科の計算分野は、このようなアイディアをもって勉強すると良いでしょう。