中学生に入って学習する物理範囲の導入的な分野が「圧力」の範囲です。この分野だけを考えたとき、難易度はそこまで高くはないと言えるでしょう。
しかし、中学生後半において力のつり合いや、力の合成・分解を学習する際に、圧力の基本的な考え方には慣れておかなければなりません。
ひいては高校生に入ってからの物理の授業はさらに難しさを増してしまいますので、入り口を疎かにしていては大変なことになってしまいます。
そこで、これから説明することは、あいまいな部分を作らないようにしっかりと理解を深めるように心がけましょう。
圧力について
圧力とは、単位面積あたり(1㎡)あたりの面を垂直におす力のことを言います。
単純なイメージとしては、ぐっと力を加えて机を押したときは圧力が強い(大きい)ですし、軽く押した場合には圧力が弱い(小さい)という感覚をもてば足りるでしょう。
以下の公式によって求められるので、しっかりと暗記しましょう。
圧力(㎩)=面を垂直に押す力(N)/ 力が働く面積(㎡)
圧力の単位
圧力の単位として、一般的に与えられるのが㎩(パスカル)と言われるものです。なじみが薄いかと思われますので、慣れることが大切です。
さらに、公式の計算方法に注目することによって、N/㎡(ニュートン毎平方メートル)と表現されることもあります。
公式とあわせて理解する場合には後者の方が頭に入りやすいかもしれませんが、問題によってはいずれの形で問われることもありますので注意しましょう。
注意点として、まずは圧力において基本とされる面積は1平方メートルであるという点です。
問題によっては面積が平方センチメートルで求められる場合もありますので、ここから圧力を求めるには、単位を自分で換算する必要があります。
また、面を押す力の単位がN(ニュートン)という単位によって表現されていることにも注意をしましょう。物理という分野は、実はかなり複雑に分類することができて、その分野によって、単位の設定方法が異なるのです。
中学生の理科では、力のことをニュートンという単位によって表現する方法がとられることになります。ちなみに、関連した単位として馴染みが深いkgという単位があるかと思われますが、
おおよそ、1㎏=9.8Nと換算されます。ただし、この点については、しっかりと問題において指定がされるので(例えば、100gを1Nとしなさいなど)、安心して下さい。
圧力の性質
定義は述べた通りですが、何よりイメージすることが大切です。
公式からも明らかなように、圧力は、面をおす力の大きさと触れ合う面積の大小によっても変化することになります。
面を押す力が大きくなればなるほど圧力も大きくなりますし、触れ合う面積が小さくなるほど、圧力は大きくなるという関係にあります(分子・分母の関係をしっかりと理解する機会とすることもできるでしょう)。
圧力の種類
さらに、圧力といっても、日常的に触れるものとして様々なものがあります。ここでは代表例として、大気圧と水圧について説明を加えることにします。いずれにおいても、テスト等において簡単に出題されることがあるので省略しないでください。
大気圧
大気圧(気圧)とは、地表の物体が空気の重さによって受ける圧力のことを言います。
日常で生活しているうえではあまり感じないかもしれませんが、実は、地球の表面は空気の重さによって圧力を受けていますし、地球の上に立っている私たちも、その空気の重さを受けながらこうして生活をしているのです。
空気圧の単位はhPa(ヘクトパスカル)と表記され、1hPa=100㎩、1気圧=約1013hPaという定義がなされている点には注意をしておきましょう。
水圧
水圧とは、水の重さによって生じる圧力のことを言います。水の深さが深いほど、水圧は大きくなります。プールなどで深く潜水したことがある人、あるいはダイビングなどの経験がある人にはイメージしやすいかもしれませんね。
深いところに潜るほど、われわれの動きはおそくなりますし、また、息苦しさを感じやすくなりますね。
これは水圧が大きい影響を受けているにほかなりません。さらに、水圧の特徴としては、あらゆる向きに働くという点があげられます。同じ深さであれば、どの向きにも同じ大きさで働くことになるのです。
浮力
この水圧に関連して、浮力、という力について学習する必要もあります。今回はメインのテーマではないので簡単に触れるにとどめますが、
浮力(N)=空気中での物体の重さ(N)-水中での物体の重さ(N)
という公式によって求めることができます。
例えばお風呂に入った時、浴槽で自分の身体が簡単にふわふわと移動できますね。これは水の中では浮力が働くことになりますので、実際の重さよりも水の中では浮力分だけ我々の身体は軽く感じるのです。
圧力の問題と求め方
ここに重さが1.6Nの直方体があります。各辺の長さについて、AB=4cm、AD=2cm、AE=3cmであったとしましょう。
この立方体を板の上に置くとき、どの面を板に接地させたときに、一番圧力が大きくなるでしょうか。また、その時の圧力はいくつになるでしょうか、小数第一位を四捨五入して求めなさい。
圧力の問題はこのような形で出題されるのが一般的です。それでは、それぞれの面について、圧力を計算してみましょう。
□ABCDを接地させた場合の圧力の求め方
圧力を求めるには、まず、その設置面の面積を求める必要があります。ここでは、□ABCDが接地面であるとされているので、
4(cm)×2(cm)=8(㎠)
となりますね。しかし、圧力の公式を利用する際には、単位が平方メートルでなければなりませんので、これを換算する必要があります。したがって、
8(㎠)=0.0008(㎡)
となります。これを圧力の公式に代入すると、
圧力(㎩)=1.6(N)/0.0008(㎡)
=2000(㎩)
□ABFEを接地させた場合の圧力の求め方
①と同じように、□ABFEの面積を求めると、4(cm)×3(cm)=12(㎠)となり、これの単位を換算すると、0.0012(㎡)となります。
したがって、圧力の公式を利用すると、
圧力(㎩)=1.6(N)/0.0012(㎡)
=約1333(㎩)
□ADHEを接地させた場合の圧力の求め方
同様に□ADHEの面積は、3×2=6(㎠)、つまり0.0006㎡となります。したがって、求める圧力は、
圧力(㎩)=1.6(N)/0.0006(㎡)
=約2667(㎩)
以上より、圧力が一番大きくなるので、□ADHEを接地させた場合で、その時の圧力は2667㎩、と求めることができます。
さいごに
ここまでみてきたように、圧力の問題は、公式は一つだけですし、単位の換算さえ確実に処理することができれば、この分野単体での出題である前提ですが、難易度は比較的易しいのが通常でしょう。
しかし、新しい単位が登場しますし、また、はじめに述べた通り、今後学習する分野との兼ね合いで非常に重要な部分でもあります。
したがって、簡単だからといって油断することなく、確実に定着させなければなりません。