化学変化の5つの概念!体系的な理解が効果的な学習のカギ

中高生はいくつかの化学変化について学習し、それらの化学変化を化学式によって表現することが求められます。

その場合には、それぞれの化学変化の仕方について暗記しなければなりませんし、化学式の表記方法も正確な暗唱を要求されます。

ただ、それらの作業をただ手当たり次第に行っていては、いつぞや間違いなく頭のキャパシティーが限界に達してしまいます。

同じ暗記をするにしても、一つ、しっかりとした見出し方法を頭の中で作っておくことによって、効率的な学習が進むはずです。

そこで今回は、化学変化の概説的な部分について、その見出しを作るために、俯瞰したいと思います。

幸いなことに、中学生で出現する化学反応の種類はかなり少ないので、おおよそ今から学習する見出しについてしっかりと割り振ることができれば、有効な理解に資するはずです。

化学変化の5種類

中学生で登場する化学変化と言えば、

  1. 化合
  2. 分解
  3. 還元
  4. 酸化
  5. 燃焼

といったものがありますが、これらがどのような関係性にあるか、しっかりと説明することはできますか?

中学生で学習する化学範囲をスムーズに処理するためには、これらについて、しっかりとカテゴライズする必要があります。

1.化合とは

化学変化のうち、いくつかの物質が結びつく化学変化を「化合」と言います。ここで注目されているのは「結びつく」という点だけで、結びつく物質の具体性については一切注目されていません。

2.分解とは

これに対して、物質がわかれる化学変化を「分解」と言います。

ここでも、どのような物質がわかれるのかという点については一切考慮されていません。ただ、物質がわかれる化学変化を広く分解と呼称するという割り振りがされているにすぎません。

つまり、この意味において、化合と分解は対置される概念になります。

3.酸化とは

物質が酸素と結びつく化学変化のこと「酸化」を言います。ここで大切なのは、物質同士が結びつく化学変化なのですから、酸化とは化合の一種であるということです。

化合の一種でありながら、その結合する物質のうちの一つが「酸素」であるという具体性にも注目してカテゴライズしたものが「酸化」という化学変化であると言うことになります。

つまり、酸化は化合の一種なのです。

4.還元とは

酸化物から酸素がとれる化学変化のこと「還元」を言います。

ここでも大切なことは、このような具体的な説明よりもまず、物質がわかれる化学変化であるから、還元とは分解の一種であるということを頭の中で整理しなければなりません。

その上で、わかれる物質の一つが「酸素」であるという具体性に注目することによって、その化学変化を特に「還元」とカテゴライズするのだ、というように理解しましょう。

つまり、還元とは分解の一種であるということになります。

そして、この「酸素」という要素を楔にすることによって、酸化と還元は対置的な位置付けがされるのです。

「ある物質に酸素を付け加えることを酸化、それによってできあがった酸化物から酸素を取り除くことを還元」というように教科書的には整理されます。

しかしそれはあくまでも化合・分解の一例にしか過ぎないということを理解しておかなければ、俯瞰的な視点が必要となったときに、混乱を来してしまいます。

5.燃焼とは

そして、この流れで「燃焼」という反応について注目したとき、物質が酸素と結び付く化学反応のうち、対象物を熱することで熱や光を発しながらこれらの化学変化が行われるもの、という整理をすることができます。

つまり、燃焼も、あくまでも化合の一つであり、その化合のうち、結合する物質の一つが酸素である酸化の一種で、その酸化方法を加熱によって行うもの、という分類をすることができることになります。

化学式を学ぶ上での注意点

教科書では、それぞれの化学変化についての説明はしっかりとなされていますが、それぞれの関係性についてはあまり明確な説明をしてくれません。

その結果、これら5つをただ並列的なものとして暗記してしまい、最終的には混乱してしまうという事態が散見されます。

樹形図的な理解をすることによって、今後記憶する化学変化・化学反応式が樹形図のどの部分に位置するものなのかを併せることによって、記憶の定着が進むという効果を期待することができます。

酸化銅の炭素による還元

代表的な例ですが、深い理解をすることによって幅広く学習することができますので、酸化銅を、炭素を利用することによって還元する実験について、簡単に解説を加えます。

実験的な注意点については教科書等をしっかりと参考にしてください。

酸化銅の化学反応式

さて、化学変化について注目してみましょう。今回の化学変化について式を作ってみると、

酸化銅+炭素→銅+二酸化炭素
2CuO+C→2Cu+CO₂

ということになります。化学反応式について以下のリンクで詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

参考リンク:化学反応式の基礎知識と8つの重要な化学反応式の作り方

この化学式から学ぶべきこと

今回の実験の目的である酸化銅に注目したとき、酸化銅CuOから酸素OがなくなってCuが生成されているので、酸素Oを分解していることから還元が行われているということは明白でしょう。

ここで大切なのが、酸化銅CuOから還元によって分離されたOは、O₂という形で気体として発生するのではなく、炭素Cと結合することによって二酸化炭素CO₂を生成することに貢献しているという点です。

つまり、この実験は、ある一面において「酸化銅を還元することによって銅を生成する実験」という言い方をすることができます。

同じように、「酸化銅を利用することによって、炭素を酸化する実験」ということもできるのです。炭素Cが酸素Oと結び付いていますので、ここで酸化が行われているのです。

このように、一つの実験についてそのメインイベントだけに気を取られてはいけません。

他の部分に注目したときに、印象付けることができる様々な反応が起こっていることが多いです。注意深く実験過程を理解するようにしましょう。

さいごに

今回は、化学変化についての理解の方法について焦点をあてましたが、おおよその科目において樹形図的な理解を意識することは非常に有効な学習手段の一つです。他の分野においても試行錯誤してみることを提案します。

 

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