因数分解の解き方が分かる!知っておくベき5つの公式と勉強のコツ

中学数学最強の壁と言えるのが因数分解です。量が多い上に、難しい。それでいて、ルールを覚えているだけでは解けない。数学が苦手になる要素がてんこ盛りです。

ただ、だからこそ努力が結果に反映されやすい分野でもあります。

ここでは、自分の引き出しを増やすことを一番の目的としながら勉強しましょう。因数分解は単純な計算問題ではありません。与えられた式を分析し、それに対して挑戦する姿勢が求められています。

まずは基本問題を確実にし、応用問題は解説を読んで意味を理解するだけで充分です。意味を理解することが非常に重要になります。何度も読むことで、解答プロセスを脳にしみこませるのです。不屈の精神でもって、様々な問題に挑戦していきましょう。

因数分解とは

因数分解とは、与えられた式を因数などの積によって表現する方法です。

今回学習する内容から少しそれますが、例えば、10=2×5、という式について、「10」という数字を「2×5」という因数の積という形で表現し直しています。これも厳密な意味では因数分解です。

そして、今回は「10」という数字ではなく、文字式について、何らかの因数を見つけ出して、積の形で表現することが目的となります。

中学生で学習する因数分解については、着眼点によって簡単な分類をすることができますが、ここではまず、因数分解とはどのような作業を言うのかのイメージを掴むために、簡単な例を挙げることにします。

因数分解の例題

【例題1】
次の文字式を因数分解しなさい。

ax+bx

このような問題が出された時に、因数分解をするということがどういうことかを分かっていなければなりません。

つまり、因数分解とは、全体を「積」の形で表現しなければならないのです。そして、今回の式について注目したときに、xでくくることができることに気が付くと思います。

ax+bx =x(a+b)

xでくくることによって、最初はaxとbxの和として表現されていた文字式が、xと(a+b)という因数によって、積の形で表現しなおすことができました。これが因数分解です。

必ず「全体」を積の形で表現しなければなりません。

展開と因数分解の関係

因数分解を学習する前に習った、展開という分野を思い出して下さい。

この因数分解は展開と逆の作業をしていることに気付けるでしょうか。このように、展開の逆の作業が因数分解であると理解してもよいでしょう。

ax+bx  因数分解
x(a+b)

展開

因数分解に必要な視点

【例題1】で見たように、因数分解とは「積の形を作る」ことが目的でした。

この目的意識を持つことは大切なことですが、ただやみくもに「積の形」を求めても、そうそう簡単に思いつけるものではありません。

つまり、因数分解の問題を解く上では、必ずいくつかの「視点」を持つ必要があるのです。その視点を持つために必要な公式について説明をしていきます。

因数分解の公式と解き方

ここでお伝えする公式は因数分解の解法の中で一番重要なものです。

基本的に二次式に関する公式が多いのですが、それぞれについて、まずは整理してみましょう。要暗記事項ですが、練習を重ねつつ、しっかりと記憶していくことが大切です。

その公式について、まずは基本的なものから見ていきましょう。

因数分解5つの公式

【公式】

  1. x²+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
  2. x²-(a+b)x+ab=(x-a)(x-b)
  3. x²+2ax+a²=(x+a)²
  4. x²-2ax+a²=(x-a)²
  5. x²-a²=(x+a)(x-a)

因数分解公式を学習する際に、一番はじめに習うものが、この5つの公式です。よく5つが並列的に並べられますが、色々な観点で整理することができます。

まずは、1と2、3と4、5という区別はできるでしょう。それぞれ、符号が異なるだけで、文字部分は全て同じです。

また、1のbにaを代入すれば3になります。この意味で、3は1の派生形であると捉えることも可能です。4も同様に2の派生形であると言えるでしょう。

したがって、暗記する事項を減らしたい人は、1,2,5だけを暗記しても問題ありません。

もっとも、これらは全て本当によく使うものですから、諳んじることができた方がベターです。それでは、以下で具体的な使用方法を検討してみましょう。

公式を利用した因数分解の解き方1

【例題2】
次の式を因数分解しなさい

x²+2x+1

これを因数分解するときに、一応共通の因数がないことを確認した上で、因数分解公式を利用できるかを考えます。

そして、③の公式に近いのではないか、と目星をつけるのです。そして、この式について、③の形を充たすようなaが存在するのかを検討することになります。

x²+2x+1
x²+2ax+a²

2xと2ax、そして、1とa²を観察しましょう。もしa²=1が成立するとすれば、これを充たすa=+1か-1ですね。

そして、それぞれについて、2xと2axを同じ値とすることができるかを検討したときに、a=1の時に、それが成立することがわかるでしょう。

したがって、aが1であることから、今回は3の公式を利用することによって、

x²+2x+1
=(x+1)²

という形で因数分解をすることができます。

公式を利用した因数分解の解き方2

【例題3】
次の式を因数分解しなさい

x²+5x+4

もう一問、公式を利用する問題について検討してみましょう。

これを因数分解する時に、公式1が利用できそうなことに気付きましょう。どれが利用できそうか、という点に関しては、練習量が物を言います。そして、1について考えた時、aとbという二つの文字について次のことが言えることを読み取りましょう。つまり、

  • aとbは掛けると4
  • aとbは足すと5

ということです。これによって、aとbが1、4であることがわかります。したがって、

x²+5x+4
=(x+1)(x+4)

という形で因数分解をすることができます。

1~5までの公式について、問題集等にはかなりの数の問題があがっていると思います。具体的な練習問題に触れつつ、何度も何度も繰り返して下さい。この分野は、量に勝る勉強方法はありません。

解の公式を利用した因数分解

因数分解公式を利用すると、公式に当てはまることがわかればすぐに解答を導くことができます。

しかし、場合によっては、どの公式を利用すればいいのか分からないこともあると思います。そのようなとき、時間はかかりますが、必ず解答を導くことができる方法が存在します。

それが解の公式を利用した方法です。なお、解の公式を利用する以上、この因数分解は二次式でしか利用することができない点で注意が必要です。

裏を返せば、二次式であれば(解が存在する限りで)必ず因数分解をすることができるということです。

さきほどのx²+2x+1について考えてみましょう。これが公式③によって導けることにもし気が付かなかった場合に、解の公式を利用した考え方を説明します。

解の公式を利用した因数分解の実践

まず、【二次式x²+2x+1=0】を考えます。そして、これについて、xの値を解の公式を用いて求めてみましょう。

解の公式とは

【解の公式】

と表すことができる、というものでした。

解の公式による因数分解

x²+2x+1=0について解の公式より、

=−2±√2²−4×1×1/2×1
=−2±√0/2
=−2/2
=-1

というように、x=-1であることが分かります。つまり、この二次式は、-1を重解とするということです。

x²+ax+b=0の二つの解α、βに関して、(x-α)(x-β)=0が成立することは復習してもらうとして、今回の場合は、α、βともに-1が入ることから、

x²+2x+1=(x+1)²=0

ということになります。

今回の問題では二次式を解くことが目的だったのではなく、あくまでも因数分解をすることが目的でしたので=0の部分は全く不要です。

したがって、x²+2x+1=0を因数分解すると(x+1)²という解答が得られることになります。

解の公式を覚える必要はあるのか?

この問題は比較的簡単な二次式についての因数分解が問われていたことから、あまり実益がないように思われるかもしれません。

しかし、実際の試験において因数分解公式を利用できない(と勘違いする場面)は往々にしてあります。

そのような際に、解の公式を利用して力技で解答に至ることが出来るか、というのは非常に大きな分かれ道となるでしょう。

 

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