今回は、日本の天気について日本に吹く風について考えていきたいと思います。
なお受験との関係では、どうしても手薄になってしまいがちである、ということを指摘しておきます。
場合によっては、そもそも「こんな範囲あったっけ?」という生徒もいるほど、悪く言えば存在感のない分野でもあります。
その理由は、頭を使うことが少ないから、という点に尽きます。
裏を返せば、いくつかの気候図と季節ごとの特徴さえしっかりと暗記しておけば、それだけで十分対応できる、ということを意味します。それさえクリアすれば、むしろラッキー問題にもなるのではないでしょうか?
偏西風とは
地球では、おおよそ中緯度に位置する領域で、強い西風が吹いています。
つまり、おおよそ北緯35°あたりに位置する日本の上空にもこれが吹いていることになります。
偏西風とは日本に吹く西風のこと
この強い西風のことを「偏西風」と言います。この風の影響で、日本列島界隈の天気は、西から東に変化することが多いという特徴が導かれます。
ここで、子どもたちがよく間違えがちな知識について指摘しておきます。
「西風」と言ったとき、その風がどちらから吹いて、どちらへ向かうのか、という点です。
西から吹いて東に向かうのか、東から吹いて西に向かうのか、ということを混同してしまう生徒が非常に多いのは実際のところです。
西風が吹く向きの覚え方
そこで、私が利用するのは、童謡「北風小僧の寒太郎」です。今の時代の子どもでもたいていの子たちが知っているのではないでしょうか。
「北風」が冬に吹く冷たい風であることは、何となくイメージをもっていると思います。この北風について考えるのです。
つまり、北風が冷たいのは、「南ではなく、北から風が吹いてくるからだ」というところを押さえるのです。南は暖かく北は冷たい、というイメージもまた、しっかりと浸透しているかと思われます。
そこで、北風が冷たいのは、風が北から吹いてくるからだ!したがって、「西風」と言うときは、西の方向から風が吹いてくることを言うのだ、というように理解させるのです。
季節風とは
偏西風とは違い、季節によって向きがかわる風のことを言います。
日本界隈では、夏には南東の季節風が吹き、冬には北西の季節風が吹く、ということをしっかりと押さえておきましょう。
海風と陸風
海岸部付近で観測することができる風のことを言います。よく晴れた日には、海風と陸風が分かり易く観測することができます。
海風とは
よく晴れた日、沿岸部分ではどのような状況が生まれるでしょうか。
地面と海を比べると、太陽の熱を受けてあたたまりやすいのは地面です。すると、昼間は地面の方が海よりも気温が高くなります。
その必然として、地面の上にある空気の方が、海の上にある空気よりもあたたかくなります。
すると、より高温な空気である、地面の上の空気は、上に上昇します。この結果、地面の上の空気が少なくなる(=気圧が低くなる)ので、相対的に気圧が高い海の上の空気が、ここに流れ込むことによって帳尻を合わせようとします。
この結果、海側から陸側へと風が吹くことになります。これを「海風」と言います。
海風のイメージ
地表の温度上昇により海からの風が流れ込む
(画像:Wikipediaより)
陸風とは
そして、夜になるとどうなるでしょうか。太陽が沈むと、気温が下がります。
地面の方が海よりも気温の低下の影響を受けやすいので、地面の上の空気の方が、海の上の空気よりも冷たくなります。
すると、昼とは逆の現象が起こり、相対的に温度が高い海上の空気が上に昇っていくことになります。
すると、海の上での気圧が低下しますので、陸側から海側へと空気が流れ込むことになります。この結果、陸側から海側へと風が吹きます。これを「陸風」と言います。
陸風のイメージ
海面の温度上昇により陸からの風が流れ込む
(画像:Wikipediaより)
天気の良い日に観測しやすいと言ったのは、このように地面と海が太陽の熱によって温められることが原因となって、海風・陸風が観測されるからです。
夏の良く晴れた日の海岸沿いの道では風が強いイメージをもたれていると思います。それはまたに、地面が太陽によってかなりあたためられているからに他なりません。
さいごに
以上でご説明したように、基本的にこの範囲に関しては、名前をしっかりと覚える、という作業に終始すれば十分にクリアすることが可能かと思われます。
ただ、注意すべきは入試問題よりも定期テストで、範囲が限定されている以上、深い理解が要求されることになります。
ただ、その場合であったとしても、実際の難易度はそこまで高いものでもないでしょう。授業ノートを何度か読み直す程度で対応可能かと思われます。