今回は、三角形の相似条件について学習します。中学数学での苦手とする子が多い分野ですが、ここで説明する内容を理解できれば全く問題ありません。
では早速に相似についてみてみましょう!
相似とは
二つの図形について、の大きさは異なるけれども形は同じ場合に、両者の関係を「相似」であると言います。
一方の図形を縮小あるいは拡大した時に、もう一方と合同の関係になるとき、その二つの図形は相似である、と言うこともできます。
三角形の相似条件については合同条件と同様に以下の三種類があります。
この三種類のうちの一つのパターンに該当していれば、二つの三角形は相似の関係にあると言うことができるのです。相似条件と合同条件を混同しないように、しっかりと暗記しましょう。
三角形の相似条件
1.三組の辺の比が全て等しい
図の三角形について、各辺の長さが上述の関係にあるとき、△ABCと△ADEが相似の関係にあることを証明してみましょう。
△ABCと△ADEについて、
AB:AD=3:6=1:2
AC:AE=2:4=1:2
BC:DE=4:8=1:2
三組全ての辺が1:2で等しい。
二つの三角形について、三辺の比が全て等しいとき、両者は相似の関係にあることから、△ABCと△ADEは相似である、となります。
2.二組の辺の比とその間の角の大きさがそれぞれ等しい
(AB=3、AC=2、AD=6、AE=4)
1つ目の問題とは異なり、辺の長さについての条件が少ないことに注意して下さい。
つまり、三辺の比についての相似条件を利用することができません。しかし、二つの三角形について、∠BACと∠DAEが共通部分であることに気付くことができれば相似であることを証明することができます。
△ABCと△ADEについて
AB:AD=3:6=1:2
AC:AE=2:4=1:2
∠BAC=∠DAE
二つの三角形について、二組の辺の比とその間の角度が等しいとき、その三角形は相似であると言えることから、△ABCと△ADEは相似である。
3.二組の角がそれぞれ等しい
(DEとBCは平行とする)
この図において、二辺が平行であるという条件しか存在しない場合はどうでしょうか。
平行線に対して直線を交差させたときに、その同位角は等しくなるという性質がありましたね。
同位角・錯角等の関係・性質については、しっかりと復習をしておいてください。本問では、DEとBCが平行という条件が提示されたことによって、∠ABC=∠ADE、∠ACB=∠AED、という角度に関する条件が導かれることになります。したがって、
△ABCと△ADEについて
∠ABC=∠ADE
∠ACB=∠AED
二つの三角形について、二組の角がそれぞれ等しいとき、
その三角形は相似であるといえることから、
△ABCと△ADEは相似である。
ということになります。
今はこの二つの角度が等しいことを利用して相似を説明しましたが、∠Aが共通であることから、∠Aともう一組の同位角を利用することでも相似を証明することはもちろん可能です。練習をかねて、挑戦してみて下さい。
四角形の相似条件について
二つの三角形について、相似という関係が観念できるように、二つの四角形についても、相似の関係を観念することは当然にできます。
しかし、二つの四角形の場合に、三角形のような直接的に試験において利用できる相似条件は存在しません。
仮に、試験において四角形の相似について検討することが要求された場合には、当該四角形に対角線を引くことによって、二つの三角形に分断した上で、二つの四角形の中にできた二つの三角形について、それぞれ相似条件(これに加えて、必然的に対角線との関係についても考慮する必要があるでしょう)を検討することになります。
つまり、四角形の相似について検討しなければならない場合には、かなり特殊な四角形が出題されることになりますし、その場合には基本的に三角形について考慮すれば導くことが出来るようになっていることが多いでしょう。
したがって、まずは三角形の場合について、相似を証明できるようにしましょう。もちろん、ここで述べたことは三角形の合同条件にも当てはまりますので合わせて確認して下さい。
参考リンク:三角形の合同条件はこれで完璧!必ず覚えておくべき3つの条件
まとめ
三角形の合同条件と同じように、三角形の相似条件についてもここで紹介した3つの条件については必ず理解暗記してください。
中学の証明問題では、証明する方法、つまり、自分以外の第三者に分かってもらうために、論理的な説明をすることができるか、という点に、評価の重きが置かれています。したがって、必然的に、そこで問われる内容それ自体の難易度は高いとは言えません。
今回学習する相似条件についてもまさにこのことが当てはまります。もちろん、合同条件についても同じです。つまり、それぞれの条件をしっかり暗記さえすれば、あとは、それを丁寧に問題通りにあてはめるだけでよいのです。
食わず嫌いにならずに、丁寧に理解をしていきましょう。