今回学習する「質量パーセント濃度」とは、いわゆる中学理科において主に学習する分野になります。
中学生で質量パーセント濃度を学習する場合には、計算処理が必要であるというだけで多くの学生が苦手意識を持ってしまっており、それは逆にチャンスともなります。
他の人に差をつける意味でも、また、今後の学習の基礎となるという意味でも、「質量パーセント濃度」についてしっかりと学び堅実な理解を深めるようにしましょう。
「溶液」「溶質」「溶媒」とは
濃度とは、「溶液中の溶質の割合」のことを言います。その割合を表現する一つの方法として、今回の質量パーセント濃度という基準が利用される、という構造になっています。
ここで、濃度、質量パーセント濃度を理解するために「溶液」「溶質」「溶媒」といった基本概念について確認しておきましょう。
溶質
液体に溶けている物質のことを言います。
溶媒
溶質を溶かしている液体のことを言います。
溶液
溶質が溶媒に溶けている時の、その液体全体のことを言います。
これらの概念は確実に暗記しましょう。
例えば、食塩水をイメージして下さい。食塩水とは、水に食塩を溶かしてできた液体のことですね。
つまり、「溶質=食塩」「溶媒=水」「溶液=食塩水」ということになります。
中学理科では、問題文等で当たり前のように「溶質」「溶媒」「溶液」という言葉が使われます。したがって、これらの言葉を当たり前のものにしておくことが大切です。
質量パーセント濃度とは
質量パーセント濃度とは、「溶液中の溶質の割合」を、質量という基準を用いて表したものです。これを求める具体的な公式は以下のような形となります。
【質量パーセント濃度を求める公式】
質量パーセント濃度(%)=溶質の質量÷溶液の質量×100
注意しなければならないのは、さきほど説明したうちの「溶質」「溶液」という概念は出てきますが、「溶媒」という概念は、表向きは表れない点です。
もっとも、溶液とは、溶質が溶媒に溶けている時の、その液体全体のことを指すということを思い出してください。とすると、上の質量パーセント濃度に関する公式は、以下のような修正をすることもできるのです。
【質量パーセント濃度を求める公式2】
質量パーセント濃度(%)=溶質の質量÷(溶質の質量+溶媒の質量)×100
「溶液=溶質+溶媒」という基本的な式を代入することで公式を修正しただけです。当たり前のようですが、これを明確に意識できているかどうかでだいぶかわってきます。
試験では溶液、溶質、溶媒の理解がカギ
実際の試験問題では、丁寧に溶液と溶質の質量が与えられていて、一つ目の公式にそれを代入するだけで解答を得られる、というパターンの問題はむしろ少ないでしょう。
計算能力が問われる範囲ですから、生徒が学習する際の視点はどうしても単純に公式を暗記してそれを直截に利用する、という作業に集中しがちです。
そのような場合に、「溶液というものは、溶質と溶媒で構成されたものだ」という原理の理解は蔑ろにされがちです。
したがって、今は当たり前のように思えても、しっかりと理解をしておくことがポイントとなるでしょう。
質量パーセント濃度の問題例
とはいえ、まずは公式を実際に使えるようにならなければなりません。そこで、簡単な問題から順番に練習してみましょう。都度、注意点について説明します。
【問題1】
水90gに食塩を10g溶かしました。この時、何%の食塩水が何gできますか。
解法のポイント
出てきた数字が「何の値を示しているか」ということを明確にしましょう。
溶質(食塩)が10gで、溶媒(水)が90gです。したがって、例えば、試験中に焦っているからといって、
10÷90
という計算をしてはいけません。それぞれの数字は、あくまでも溶質と溶媒です。公式を利用するには、「溶液」についての質量が必要です。
この問題における溶液(食塩水)の質量は10+90=100gです。これを公式に代入するのです。
本問の答え
質量パーセント濃度=10÷(10+90)×100
=10÷100×100
=10(%)
したがって、10%の食塩水が100gできることになります。