国語の知識問題で、敬語と並んで苦手意識を持ちやすいのが文法です。
なかでも品詞分類はその概念自体がぼんやりとしか理解できず、いつまでたっても身につかないことが多くあります。品詞分類は単独で出題されることは少ない単元ですが、国語用語として知っておきたい知識でもあります。
ここでは品詞の見分け方を、ざっくりご紹介します。品詞は10に分け特徴を理解していきましょう。
品詞とは?
文を最も小さい単位で分けたものを「単語」と言います。辞書に載っている言葉と考えてください。
例)私はりんごとみかんを買う。 → 私 / は / りんご / と / みかん / を / 買う / 。
文を単語で分けてみました。上の文は7つの単語でできています。
この中で似たような種類の単語があります。「私・りんご・みかん」は名前(呼び方)を表すという働きをしています。「は・と・と」は言葉をつなぐ働きですね。「買う」は、動作(動き)を表しています。
日本語の単語にはこの3つを合わせて全部で10の働きがあり、そのすべてに名前がついています。この10の働きを合わせて「品詞」と呼んでいます。
「私・りんご・みかん」は名詞、「は・と・と」は助詞、「買う」は動詞と呼ばれています。
「私」の品詞を答えなさいと言われたら、「名詞」と答えます。「りんご」と同じ品詞の言葉を選びなさいと言われたら「私・みかん」となります。
では問題です。「キャベツ」の品詞は何でしょうか。
りんごやみかんと同じ気がするから「名詞」と思ったのではないでしょうか。
正解です!「名詞」です。
では「歌」「悲しみ」「これ」「3人」の品詞は何でしょうか。
難しいですね。なんだか名詞ではないような気のするものもありますが、実は4つすべて「名詞」なのです。
品詞にはすべて特徴があります。その特徴さえ覚えてしまえば、すぐに品詞を分けることができます。この特徴を覚えることが、品詞の大切なポイントです。
名詞とは
名詞の最大の特徴は「主語になれる」ことです。
品詞の説明で例に出した「私・りんご・みかん・キャベツ・歌・悲しみ・これ・3人」はすべて、「は」や「が」をつけて主語になることができるのです。
- 私は毎日勉強する。
- りんごはおいしい。
- 歌が聞こえる。
- 悲しみが止まらない。
- これは難しい問題だ。
- 3人は今日欠席する。
すべて主語になれました。主語になれるものは名詞、これだけ覚えてください。
動詞とは
動詞でよくある間違いは、動きを表すと思い込んでいることから生まれます。確かに「立つ・走る・踊る」などは動きを表している動詞です。では「いる」はどうでしょうか。動いていませんね。でも、動詞です。
品詞では意味を考えるのではなく、形で考えたほうが分かりやすいのです。
動詞は言い切りの形で考えます。言い切りとは、辞書に載っている基本の形です。「立つ・立った・立って」など動詞は色々と形を変えますが、辞書に載っているのは「立つ」だけですね。だから言い切りの形は「立つ」です。
動詞の言い切りの形には一つのルールがあります。それは「ウ段」の音で終わるというものです。「ウ段」とは「うくすつぬ」のように伸ばして発音すると「ウ」になる音のことです。
「買う・書く・貸す・勝つ」はすべて動詞ということになります。
「勝つ」が動詞なら「とんかつ」はどうなるでしょうか。動詞……のはずがありません。「とんかつ」はウ段で終わりますが名詞です。「主語になれる」という条件が優先ですし、その違いは何となく分かりますよね。
「ウ段」で終わるものが動詞、ここが大切です。
形容詞とは
形容詞は簡単に言うと「どんな」を表す単語です。「大きい・細い・かわいい・優しい」などです。
形容詞も形で判断します。言い切りの形が「い」で終わります。イ段ではなく「い」で終わるのがポイントです。
形容動詞とは
形容動詞も「どんな」を表します。「きれい・静か・好き」などがあります。
形容動詞も形で判断します。言い切りの形が「だ」で終わります。「きれいだ・静かだ・好きだ」ですね。
でも「だ」を付けると、名詞と紛らわしいと感じます。「りんごだ・私だ」も言えますからね。
見分けるためには後ろに名詞を付けてみます。
- きれい な 人
- 静か な 町
- 好き な 食べ物
気づきましたか。後ろに名詞を付けると「な」が出てきます。このように「な」がつけられるものが形容動詞です。
名詞・動詞・形容詞・形容動詞の見分け方まとめ
- 名詞・・・「が・は」をつけて主語になれる
- 動詞・・・言い切りが「ウ段」
- 形容詞・・・言い切りが「い」
- 形容動詞・・・言い切りが「だ」 ※後ろに名詞を付けると「な」