例えば、たった一つの英単語を暗記するのに10分もかかってしまう。
これは緊急事態です。普通の人間であれば、このような状況には絶対になりません。ならないはずなのに、これと類似したような状況に陥る生徒が多いのもまた事実。
答えは簡単、集中できていないからです。
勉強に限らず、集中力をもって何かを為さなければ効果は非常に低いでしょう。
そして、殊勉強について言えば、どうしても頭を使う内容であることから、より高度な集中力が要求されるものです。結果、集中を欠いた勉強は、そもそも勉強としてカウントすることができないと言っても過言ではありません。
それでは、どのようにすれば集中力を高めることができるでしょうか?
集中するための方法論については他の方に預けるとして、集中できない理由から集中力を高める方法について検討してみましょう。
ゲームに集中できて勉強に集中できない理由
ゲームは集中してやるのに、勉強は集中しない。
当たり前のことです。ゲームは面白くて、勉強は面白くないからです。
ただ、ここで大切なポイントは、「ゲームは面白い、勉強は面白くない」という言い方は、適切ではないのだ、ということです。
より正確に表現しましょう。
「ゲームは面白さが分かり易い、勉強は面白さが分かりにくい」
これが真理です。ゲームなんて面白くないでしょ勉強しなさい、という方。それは無理な話です。
ゲームは面白いです。大人の私でも面白いと感じるのですから、子どもにとってはなお面白いはずです。割り切りましょう。ゲームは面白いものです。面白さが非常にわかり易いものなのです。
「義務感」では集中して勉強できるわけがない
では、勉強はしなければいけないものだから勉強する、という方。違います。
それでは勉強するはずがありません。大人でも同じでしょう。義務感だけで何かをなすことには限界があります。
何かに熱中して取り組むためには、その何かに、のめり込むだけの魅力を見出せるからではないでしょうか?
ということで、勉強に含まれている面白さに気づくことが集中への非常に重要なポイントとなるのです。
勉強の面白さを認識させることが集中のカギ
数学の面白さ、英語の面白さ、天気の原理の面白さ、勉強には、それぞれの分野に必ず「面白さ」が含まれているはずです。
本来的に含まれているこれらの「面白さ」を認識できるようになれば、間違いなく集中して勉強することができます。
ゲームは商業的なものです。売れなければいけません。面白いものが売れます。詰まり、面白いと感じるための工夫が凝らされているのです。
これと勉強を比較してはいけません。当然、分かり易く面白いのはゲームでしょう。
だからこそ、どれだけ勉強の魅力を伝えることができるか、勉強に隠されている「面白さ」をどれだけ教えてやることができるか。
これが成功したときに、集中した学習は当然についてくることになります。
どうすれば勉強の「面白さ」を引き出せるのか?
例えば、日本史を例にあげてみましょう。
一般的な傾向から言って、日本史で最初に学習する分野である「先土器時代」について、これは絶対に魅力的ではないでしょう。
日本史の中で興味をやすいのは、やはり戦国時代やら明治維新やらの「派手」な時代です。それならば、いっそのこと、ここから勉強をはじめてしまえばいいのです。
第一印象は重要
ファーストインプレッションで「面白そう」というイメージさえもたせてしまえば、案外その印象は長続きします。
騙していると言われてしまえばまさにその通りなのですが、例えばこれで日本史に対して「何となく面白そう」というイメージを根付かせたとしましょう。
とすると、次に面白味がないようなジャンルの内容に入ったとしても、「もしかしたら面白くなるかもしれない」というように思わせることができるのです。
ある意味暗示にかけるようなもの。でもこれで、興味が向くのであれば、大成功ではないでしょうか。
その他にもある勉強の面白さ
あるいは、「問題を解けた」という達成感も勉強が持つ面白さの1つではないでしょうか?または、なぜ雨が降るのか?なぜ、コップやペットボトルには水滴が付くのかなど、仕組み・原理を知ることも面白さの一つでしょう。
このような形で関心を持つことができれば、集中してのめりこんでくことができます。
集中力を高めるために~勉強とは少し離れて~
「昔遊び」が、集中力を高めるために効果があると言われています。
抽象的な教育論にあまり興味はありませんので、私の経験から一つ、けん玉は非常に集中力を高めるために効果的であるということをおすすめしておきます。
集中力は無意識的に発揮されるもの
そもそも、集中力というものは、「発揮してやろう」というように、意識的なものから生み出されるものではありません。
それぞれの方が、それぞれ無意識のうちに培った能力の一つで、そして、無意識のうちに発揮されるものでしょう。
とすると、発揮する機会を普段からどんどん積極的に作っておけば、必然的にさまざまな場面で無意識的に発揮されるはずです。
私の経験からご紹介できるのはけん玉なのですが、ご存じの方も多いでしょう、これは非常に集中力を要するものです。
けん玉の効用
小学生の頃から嵌っていて現在に至るのですが、そこそこの経験歴はあっても、未だに集中力がなければなかなかうまくできないこともあります。
そして、今まで何件も家庭教師を経験してきましたが、各家庭、年代問わず生徒にはけん玉を薦めてきました。
「けん玉をしてきた=合格できた」とまで言うつもりはありませんが、それぞれの生徒に見つけることができた成長の理由の根底の一つには、けん玉による集中力の向上、というものがあったのではないかと考えています。
それに、集中力を高めるため、ということもあるのですが、リフレッシュをするため、という目的もあります。
勉強しているとどうしても身体が凝り固まってしまいますが、本気でけん玉をするとそれはまさに全身運動、しっかりと気分転換をすることができます。
集中のために勉強以外の視点も
他の「昔遊び」も、もしかすると効果があるかもしれませんし、もしかすると意味がないかもしれません。
ただ、「集中力を高めるためにどうしたらよいか」ということを考えるとき、あまりに勉強に直接的に関連したことばかりに気をとられてしまっても、それはまた閉塞感を生みだすだけですし、結果として集中力がなくなってしまうかも知れません。
少し肩の荷をおろしてほしいという目的からも、このような間接的な方法もおすすめしておきたいと思います。
勉強する環境を整える
集中して勉強できる場所をいくつか作っておくのは大切なことでしょう。
例えば、テレビがついているリビングで、果たして集中した勉強ができるでしょうか?
学校の図書館、県立の図書館、カフェ、自宅など、自分が勉強するための空間をいくつか作っておくと、一つの場所に飽きがきたときに、代替するところを求めることができます。
静かな空間が好きな方であれば自宅・図書館がメインになるでしょうし、騒音の中の方が集中できるという方は、カフェや、ややもすればテレビのついているリビングが良いかもしれません。
何にせよ、どのような環境であれば集中することができるのか、ということを分析しておいて、それにマッチした環境を用意することが大切です。
集中のカギとなる何かを持つ
笑われるかもしれませんが、私の場合、お気に入りのボールペンがあって、これがなければ勉強がどうにもはかどらない、そのかわりに、このボールペンを使って勉強すると非常に集中力が発揮されるというものがありました。
もう少し抽象化して、例えば、集中力が高まる「音楽」など、付加的な環境によって、集中力を高めることができる場合がある、ということです。
インストが好きな方、洋楽はダメだという方、色々あるかと思います。こういった細かいポイントに気を付けることで、案外集中力を高める効果が望めます。
さいごに
個人的な考え方がやや偏っている点もあるのかもしれませんが、やはり、そもそも「義務感」から集中して勉強をするのは無理があるのではないでしょうか。
集中して勉強するためには、やはり、能動的な姿勢がそこにあるのが理想です。
そして、そのためには「勉強もまた面白いものだ」と感じさせてやるのが一番大切なことではないでしょうか。
「どうして勉強に集中できないのか」と考えてしまうと、どうしてもネガティブな方向にしか話が進みません。
そうではなく、「どうすれば勉強を面白いと感じるだろう」という方向で頭を使うだけで、事態は少し明るく好転しませんか?