約数に関連する問題は、倍数と同様に小学生の算数において、非常に基本的な分野であると位置づけられています。
もっとも、だからといって難易度が低いわけでもなく、逆に掛け算、割り算の基本的な数学的体力が要求されるうえに、基本的な分野であるからこそ、応用問題が問われやすい分野となっています。
今回は約数、公約数、最大公約数についてご紹介します。この分野を学ぶことをきっかけに、算数における基本的な計算能力というものの定着度を深める機会とするのも良いでしょう。
約数とは
約数とは、「ある整数を割り切ることのできるすべての整数」を意味します。
例えば、「10の約数を全て答えよ。」という形で問題が与えられます。この場合には、「1、2、5、10」の四つが答えとなります。
単純に数え上げるだけなのですが、小学生にとって「漏れなく数え上げる」ことはそう単純な作業ではありません。したがって、ピックアップする際の順番をしっかりと教え込む必要があります。
具体的には、「小さいものから順番に、そして都度その合い方」を書きだすように指導します。10の場合について言えば、1、10、2、5という順番になります。
約数を漏れなく割り出すために必要な思考順序
- 1で10は割れるか ⇒割れる ⇒1は約数 ⇒10も約数
- 2で10は割れるか ⇒割れる ⇒2は約数 ⇒5も約数
- 3で10は割れるか ⇒割れない
- 4で10は割れるか ⇒割れない
- 5で10は割れるか ⇒割れる ⇒上でもう数えている ⇒数え上げ終了
まどろっこしいように思われるかもしれませんが、検討すべき数字が大きくなった時に、数え上げるには、一つの方法を反復させることが非常に重要ですし、もれなくピックアップさせる方法としては、おそらくこれが最適です。
公約数とは
公約数とは、複数の数字の約数のうち、共通するものを言います。「15と20の公約数を求めよ。」という形で問われることになります。
この場合も約数と同様、基本的には数え上げることによって、共通項をピックアップすれば足ります。
15の約数
- 1で15は割れるか ⇒ 割れる ⇒1は約数 ⇒15も約数
- 2で15は割れるか ⇒ 割れない
- 3で15は割れるか ⇒ 割れる ⇒3は約数 ⇒5も約数
- 4で15は割れるか ⇒ 割れない
- 5で15は割れるか ⇒ 割れる ⇒上でもう数えている ⇒数え上げ終了
→15の約数は1,3,5、15になります。
20の約数
- 1で20は割れるか ⇒ 割れる ⇒1は約数 ⇒20も約数
- 2で20は割れるか ⇒ 割れる ⇒2は約数 ⇒10も約数
- 3で20は割れるか ⇒ 割れない
- 4で20は割れるか ⇒ 割れる ⇒4は約数 ⇒5も約数
- 5で20は割れるか ⇒ 割れる ⇒上でもう数えている ⇒数え上げ終了
→20の約数は1,2、4、5、10、20になります。
公約数の探し方
公約数とは15と20に共通する約数のことです。分かりやすく図にしてみましょう。
15の約数 | 1 | 3 | 5 | 15 | ||||
20の約数 | 1 | 2 | 4 | 5 | 10 | 20 |
したがって、両者の公約数は、
1,5
となります。
最大公約数とは
最大公約数とは、公約数のうち最大のもの、つまり最も大き数を言います。こちらも分かりやすく図にしてみましょう。
15の約数 | 1 | 3 | 5 | 15 | ||||
20の約数 | 1 | 2 | 4 | 5 | 10 | 10 |
15と20の約数の中で最も大きい数は5、つまり最大公約数は、5ということになります。
塾等において提案される最大公約数の求め方
例えば、12と20の最大公約数、最小公倍数を求めるにあたって、塾などでは以下のようなひっ算的なものを利用して解答する方法が提示されます。
12 | 20 | |
2× | 6 | 10 |
2× | 3 | 5 |
この計算式の右側に出てきたものを掛ける、つまり、2×2=4が最大公約数
という処理方法です。この公式さえ覚えてしまえば、短い時間で計算をできます。また左側の列と一番下の列を掛けることで最小公倍数も同時に産出できるため、中学受験塾などで利用されている計算方法です。
ただし、最小公倍数の求め方でも書きましたが、この公式を覚えることよりも、しっかりと計算をして数値を求めることのほうが重要です。
約数の勉強のポイント
約数の範囲では、割り算の計算能力と漏れなく数値を算出できるかが非常に大きなポイントです。そして、これ以降の学習においても、今まで習った基礎的な学習がしっかりと知識として定着しているかどうかが、今後算数の成績を左右します。もし、約数につまづいたなら、割り算をしっかりと復習して、今後につなげてください。