今回は、理科の範囲のうち、物理分野に位置づけられる「オームの法則」について学習しようと思います。
電気に関する分野ですので、その原理について根本的な部分までつきつめて理解するにはかなりの困難が待ち受けています。
もっとも、中学の理科で問われる内容だけに限定した場合には、その難易度はそれほど高いものではありません。
公式を暗記する。そして、問題をパターン化して、しっかりと公式の利用方法を定着させることができれば、おおよその問題に対応することができるでしょう。
オームの法則
オームの法則とは、電気分野における最も基本的な公式です。
ここでは、「電流」「電圧」「抵抗」という3つの概念が登場することになりますので、まずはこれらについて簡単に説明をすることにします。
定義の詳細について深く理解する必要はありません。イメージを掴むことが大切です。また、単位の記号などを間違えないようにしましょう。
電圧(V)
電池の電位差のことを電圧と言います。電圧の単位はVと書き、ボルトと読みます。単位と同じで混同しやすいのですが、電圧は「V」と表記されることになります。
電流(I)
電子などの移動量のことを電流と言います。電流の単位はAと書き、アンペアと読みます。電流は「I」と表記されることになります。
抵抗(R)
電気の流れにくさのことを抵抗と言います。抵抗の単位はΩと書き、オーム(オメガ)と読みます。抵抗は「R」と表記されることになります。
なお、抵抗は物質の種類によって異なります。例えば、ゴムは抵抗が非常に大きいので、電気を通しません。
オームの法則の公式
オームの公式には、上で述べた電圧、電流、抵抗の3つの要素が登場します。
問題によって、どれを求めなければいけないかが変わってきます。そして、どれを求めるかに応じて、オームの公式は以下にのべる3通りの表現方法がされることになります。
- 電圧(V)=電流(I)×抵抗(R)
- 電流(I)=電圧(V)÷抵抗(R)
- 抵抗(R)=電圧(V)÷電流(I)
公式は言葉で覚えない
1番上に記した【電圧=電流×抵抗】という公式をはじめに学習することになります。
残りの2つについて、これを暗記することはもちろん歓迎すべきですが、言葉が似ていることもあって、混乱しないように注意しましょう。
個人的には、1つ目だけを暗記して、残りのものについては、その都度、自分で導き出すという方法をおすすめします。
このような公式を変形する際のコツですが、私がよく利用するのは【6=2×3】という計算式にヒントを求めるというものです。
例えば、オームの法則を利用しなければならない問題において、問題で「電流」の値を求めることが要求されたとしましょう。このようなときに、
「【電圧=電流×抵抗】だから、電流を求めるためには、電圧を抵抗でわって…」
というように、日本語で公式を処理しようとすると、どうしても思考がスムーズには進みにくいです。だからといって、
【電流を求めるには、電圧を抵抗でわればよいのだ】
ということを暗記しきってしまうことも労力を要するでしょう。そこで【6=2×3】を利用するのです。
公式を暗記するコツ
オームの法則とこの計算式を見比べてみて下さい。
V=IR
6=2×3
電流を求めたい時に、この位置関係を利用するのです。つまり、電流の位置に該当するのは、「2」ですね。ということは、「2」を求めるには、「6÷3」という計算によることは直観的に分かってもらえると思います。とすると、
「6の位置にあるもの」÷「3の位置にあるもの」
という計算をすることによって「2の位置にあるもの」の値を求めることができることになります。したがって、公式と計算式を見比べた時に、電流を求めるには、「電圧÷抵抗」の計算をすれば良いということがわかる、という仕組みです。
以上のように言葉で説明するとかなり長くなってしまいますが、実際に利用する場合には、このような冗長な思考にはなりません。試してみると実感しやすいです。
オームの法則に限らず、あらゆる分野で出てくる公式を変形しなければならない時に、このような簡単な計算式の式構造を参考にするという手法は極めて効果的です。
「暗記する量を減らしたい」「変形の手間をできるだけ省略したい」というニーズを全て充たすことができるというわけです。
なお、電流、電圧、抵抗はこれで完璧!公式の覚え方と計算問題の解き方でも、オームの法則の覚え方について記載していますので、合わせて確認してみてください。