反比例とは
比例のように一筋縄ではいかないのが反比例です。
もっとも、反比例については、比例のようなわかり易い関数とリンクさせることができないという性質上、応用問題が出されにくい、という利点があります。
つまり、比例の問題は、「比例」という性質が単純であるが故に複雑な問題が展開されやすいのに対して、反比例の問題は、「反比例」という性質がやや複雑であるが故に、シンプルな問題しか出題されない傾向があるのです。
反比例については、一般的に次のような説明がされることが多いです。
「二つの量があって、一方が他方の逆数に比例している関係にあるとき、二つの量は反比例の関係にある」
というような定義がなされるのです。
もっとも、反比例の学習をする上で、このような意味のわかりにくい定義を覚える必要はありません。
反比例の場合には、反比例の一般式をいきなり覚えてしまいましょう。その方がてっとり早く問題を処理できるようになります。そして、具体例に触れながらニュアンスを定着させることで足ります。
反比例の方程式
y=a/x(aは定数)
比例の式と混同してはいけませんが、比例の一般式に似ていることから覚えやすいかとも思います。
反比例の問題が出題される場合には、このような一般式が登場することになります。もっとも、実際に問題に触れてみるとわかりますが、このような一般式をたてるまでもなく解答できる場合も多いです。
反比例のグラフ
比例のグラフを比べると、反比例のグラフのいびつさをより感じてもらえると思います。問題の種別にもよりますが、このグラフのイメージと先程の一般式だけを記憶していれば問題ありません。
反比例の問題例
【問題3】x=4、y=5で、xyは反比例の関係にあるとき、xが10ならばyの値はどうなるか求めなさい。
非常にシンプルな問題ですが、反比例の定着を確認するために検討してみましょう。
反比例の比例定数、方程式の求め方
比例の問題と同じように、まずは一般式を置いてみます。
y=a/x(aは定数)
そして、本問におけるxyの条件をそのまま代入してみると、
5=a/4
a=20
したがって、本問における反比例の方程式は、
y=20/x
というように求めることができます。
本問の答え
xが10の場合のyを求めるには、再びこれに代入すれば良いのですから、
y=2
と求めることができます。
このように解答を導くことは簡単なのですが、ここで反比例の性質について学習しましょう。
つまり、反比例のペアにあたるxyの数を掛けたとき、その値は常に20になることがわかるでしょうか。
(x、y)について(4,5)(10、2)のように、それぞれの数字がいわば20を分け合うような形になっていることがわかるかと思います。
比例の場合には、比例定数という一定の数字を導くことができましたが、反比例の場合にも、このような軸にあたる数字が存在するということを覚えておきましょう。
比例・反比例の関係が提示されない問題
【問題4】縦がxcm、横がycmの長方形があり、その面積が20であるとき、xとyの関係式を求めなさい。
今まで学習してきた問題では、どの場合でも「比例・反比例」の関係が問題文で明らかにされていました。
しかし、今回はどちらとも明言されていません。
反比例が関係する問題では、このように、一見「比例・反比例」の問題ではないような出題がされることもあります。このような文章題が与えられた時も、問題文から導くことのできる式を何でもいいからまずは書いてみることからはじまります。
今回求めるxとyの関係式
例えば、今回の問題であれば、「長方形の面積」が一つのポイントになりそうですね。そこで、素直に面積を求める方程式を作ってみましょう。
x×y=20
このように、問題文で与えられた情報を自然と式にするだけでよいのです。そして、xyの関係式を求めなければならないのですから、yについて整理するのが中学数学におけるマナーですので、
y=20/x
という変形ができるでしょう。
解法のポイント
この方程式は先程の【問題3】と同じ式だということに注意して下さい。つまり、長方形の縦と横の長さは、「面積」を楔にした時に、反比例の関係にあるということができるのです。
反比例の問題では、このような具体的なケースについて分析することが求められ、結果としてxyの関係が反比例であったとわかるという構造の問題が出題されることが多いです。
その際に大切なことは、他の文章問題を解く場合とひとしく、しっかりと問題で与えられた情報を素直に式にすることができるかどうか、という点です。
さいごに
グラフが先に提示されて、それを読み取って関係式を導くというパターンの問題が出題されることもあります。文章題であったりグラフの読解の問題であったり、中学数学の中ではもしかすると重荷に感じやすい出題形式かもしれません。
しかし、比例・反比例の分野に限らず、これらの出題形式に対応することは数学全般で要求されることですし、この形式に慣れることができれば、一段と数学の成績は向上するでしょう。しっかりと練習に励んで、苦手としないようにしましょう。