今回は平均値について学習をします。平均の求め方は小学生でも習っている分野でもあることから、比較的馴染み深いかと思います。
ただ、中学数学との関係で言えば、近接した分野として最頻値・中央値というものが新しく登場しますし、また、相対度数との関係で平均値が問われることもあります。このことから、単純に平均を求める作業として理解するだけでは十分ではありません。
他の分野との違いを意識した上で、しっかりと求めることができるように練習を積みましょう。
平均値とは
平均値とは、与えられたデータの全ての和を、そのデータの数で割ったものを言います。一般的に「平均」と表現する時に、念頭に置かれる数字であると理解すれば十分でしょう。
ただ、中学数学では、二通りの解法を理解する必要がありますので、以下にそれぞれ説明を加えます。
平均値の基本問題
クラスの五人の数学の点数は、50点、60点、70点、80点、90点であった。この時、この五人の平均点を求めよ。
平均値を求める一番簡単な方法は、全ての数字を足して、その合算数をデータの数で割る、というものです。したがって、本問の場合には、
(50+60+70+80+90)÷5
=350÷5
=70
というように求めることができます。よって、本問における平均値は70点ということになります。
平均値の応用問題
平均値が入試問題で問われる際、【問題1】のような単純な問題のみで出題されることは少ないです。むしろ、他の分野と関連した形で問われることが一般的です。例えば、以下の問題のように、相対度数との兼ね合いで問われます。
階級(点数) | 度数(人数) | 相対度数 |
0~20 | 1 | 0.05 |
20~40 | 2 | 0.1 |
40~60 | 4 | 0.2 |
60~80 | 8 | 0.4 |
80~100 | 5 | 0.25 |
合計 | 20 | 1 |
例えば、このような相対度数表が与えられたとします。20人クラスの数学の点数分布を示した表であるとしましょう。
この時に、クラスの平均点を求めるように問われるのです。
※本問では既に相対度数表が全て埋まっていますが、入試問題等では、設問のはじめの方で穴埋めにされた相対度数表を埋めることが求められ、最後の設問で、平均値を求めるように問われることが多いでしょう。
この問題において、20人すべての数字を足す方法を選択しても問題はありません。平均値とはそもそも、それらすべてを合算して、データ数で割るものですので、その作業で得られない答えはありえません。
もっとも、20個すべての数を書き出すというのは、時間が限られた試験中に選択する手段としてはあまり賢いものではないでしょう。
それでは、この相対度数表を利用して、効率よく平均値を求めるにはどのようにすれば良いのでしょうか。
相対度数表の理解と階級値
ここで大切なことは、相対度数表をしっかりと読解できるか、ということです。
例えば、0~20点の階級について、この間の点数を獲得した人数が1人であること、また、41~60点の階級について、この間の点数を獲得した人数が4人であること、などをしっかりと読み解きましょう。
その上で、ここでは「階級値」という考え方を利用します。すなわち、0~20点の階級に属する人が獲得した1人の点数について、この人が実際に獲得した点数が何かを知る手段はありません。
そこで、この階級に属する人の点数を一律にその階級における真ん中の数字である「階級値」であると設定するのです。各階級値を考慮すれば、表は以下のように修正されます(相対度数は必要ではないので省略します。
階級(点数) | 階級値 | 度数(人数) |
0~20 | 10 | 1 |
20~40 | 30 | 2 |
40~60 | 50 | 4 |
60~80 | 70 | 8 |
80~100 | 90 | 5 |
合計 | 20 |
階級値を利用した平均値の求め方
この値を利用して、各階級の合計数を考えます。
つまり、0~20の階級において、度数は一人であることから、この階級における合計は10×1=10となります。
また、20~40の階級における度数は2であることから、この階級における合計は30×2=60となります。このように各階級の合計数がわかれば、最終的にそれらを合算することによって、全体の合計数を導くことができるのです。すなわち、
(10×1)+(30×2)+(50×4)+(70×8)+(90×5)
=1280
となります。そして、これを人数でわれば、相対度数表を利用することによる平均値を求めることができるのです。つまり、
1280÷20
=64
となります。したがって、本問における平均値は64となります。
もちろんこれにも注意が必要で、あくまで階級値を利用した結論ですので、現実に獲得した点数を前提として求める平均値とはズレが生じます。
したがって、問題では、相対度数表を利用した平均値を求める必要があるのか、それとも、(与えられている場合に限りますが)現実の数字を前提にした平均値を求める必要があるのか、に注意をしてください。
最後に
このように、一概に平均値と言っても、中学数学における平均については特有の難しさがあります。平均を求めるだけであれば簡単であるからこそ、他の範囲とからめて出題されるのです。
つまり、単純に平均値を出すだけであれば、もはや単純な計算と同じように、数学における「基礎体力」のようなものとして扱われているのです。
したがって、苦手意識をもたないように、繰り返し練習して、どのような範囲でこれが問われても問題なく使えるようにすることが大切でしょう。