まずは事実をお伝えするために、私の結果からお伝えします。
入試で利用したセンター試験科目は、英数国理社の5科目800点満点でした。合計で750点程度のスコアでしたが、国語で40点落としています。
幸いなことにセンター試験が得意な私でしたが、国語だけは8割程度の得点率でした。
センター試験の国語は本当に難しい
さて、私は国語が得意でした。
にもかかわらず、本番では8割で、これは自分の目標には大きく届かず、かつ、周りと比べても極めて平凡な点数でもありました。ひとえにセンター国語が非常に「難しい」ことに原因があります(責任転嫁したいわけではありません)。
何が難しいかは横に置いておくとして、まずはこのように、非常に成果が発揮されにくい科目であるということをご理解いただく必要があります。
ということで、例えば数学では目標点を設定することが大切であることを述べましたが、国語については、このような目測を立てることに意味はありません。
もちろん、ある程度の予定を見立てることは、受験校を決める上でも大切なことですが、「〇〇点をとるための勉強法」というものはありません。
基本的にどの点数を狙う方にとっても、勉強法は同じです。同じ日本人である以上、日本語についての習熟度にはそこまでの差はないはずです。
つまり、センター国語においては、「できるだけ点数を良くするためには」という観点で対策を立てる必要があります。
センター試験の国語全般について
まず全般的に言えることですが、80分という試験科目の中で、現代文二問、古典一問、漢文一問、合計四問に解答するという作業は、極めて厳しいものであるという認識を持つことからスタートしましょう。
余程の読解力と読解スピードをもっている方でない限り、センター国語は時間が不足するものです。
そこで、まずは、各大問に充てることができる時間目安を設定することが重要です。
時間配分を設定する
私の場合は、どうしても現代文に時間がかかってしまいましたので、古典+漢文30分、大問1の論説文30分、大問2の小説20分、という区切りを作っていました。試験問題の内容次第で、臨機応変に融通し合っていましたが、おおよそこの時計を目安としていました。
それぞれの方、得意不得意はあると思いますが、各大問の時間バランスをとるようにして、一つの大問が総崩れしてしまうという事態を避けるようにするのが先決です。
ありがたいことに、数学や英語と違ってあくまでも日本語についての問題ですから、最低限の時間さえ確保することに成功すれば、大きく点数が欠落してしまうという事態は避けることができるはずです。
時間配分することの必要性
時間配分を意識していないと、どこかの大問で大きく時間をとられたしわ寄せが別の部分に来てしまい、結果として大問一つが吹っ飛んでしまうことにもなりかねません。200点中の50点を捨てるのは非常に危険です。
事前練習の段階で、しっかりと時間への意識を持つようにしておきましょう。
センター試験国語の現代文について
まずは現代文について、簡単にポイントをご紹介します。
大問一の論説文
何より確実に得点を重ねるためには、大問一の論説文でしっかりと得点を重ねる必要があります。
文章は長めのものが出題される傾向にありますが、しっかりと内容を理解することができれば、解答することにそう難しさを感じることはないでしょう。
大問二の小説文
これに対して、大問二の小説が非常に厄介な存在で、これについては運を天に任せるより他ありません、と言ってしまうと投げやりに聞こえるかもしれませんが、基本的に試験の難易度を大きく左右するのは大問二と言われることからも、かなりの覚悟が必要という意味では間違いありません。
センターの現代文で正解するために必要な能力
さて、いずれの大問にしても、マーク試験ということですから、選択肢を吟味することが非常に重要な作業ということになります。
自分で説明するのではなく、あらかじめ与えられた解答群の中から正解を選ばなければならないので、「自分で説明することができない」という難しさが存在するのです。
つまり、現代文では、自分で解答を導き出す能力は一切問われていないのです。必要なのは、提示された解答候補たちを、しっかりとジャッジできるかどうか、という能力です。
ここを意識できれば、既に当時の私よりも上を行っています。受験生当時に気が付けなかったのが悔やまれるのですが、どうしても問題文を読んだあと、自分で解答の「イメージ」を持ってしまっていました。そして、その「イメージ」に一番近い肢を選択する、という手段によってセンター国語に向き合ってしまっていました。が、これは誤りです。
述べましたように、センター国語では、ジャッジする能力が問われているのです。
ジャッジの際に必要な観点
そして、そのジャッジの際に必要な観点は、「問題文で述べられていることを適切に表現しているかどうか」という観点ではなく、「問題文で述べられていることと違う内容を表現していないかどうか」という観点でジャッジをしなければなりません。
ここにセンター国語の難しさがあるのです。
つまり、もちろん、各設問において、「これが答えに間違いない」というくらいにドンピシャで正解内容を表現しているものもありますが、基本的にこのようなわかり易い出題はされません。
正解を選ぶための判断基準について
正解っぽい言い方がされている肢であったとしても、一か所だけ本文では述べられていない内容が含まれているのであれば、その肢は不正解です。
逆に、一見正解っぽい言い回しではないけれども、実は一つも「本文では述べられてない内容」が含まれていない肢があれば、その選択肢は正解なのです。
この吟味をどれだけ正確にすることができるのかが問われていることになります。
センター国語でよく言われるアドバイスについて
よく、「強い表現を使っている選択肢は怪しい」という助言がされますね。
このアドバイスがされるのには理由があって、基本的にセンター試験で採用される問題文は「中立的な内容のもの」「ドラスティックではない内容のもの」が選択される傾向にあります。
過激な内容の出題内容は、やはり好まれないという日本的な発想が前提にあるのでしょうが、とりあえずこの前提がありますので、そこから導かれる選択肢についても、過激な内容が含まれるものは基本的には誤りになる可能性が高いという傾向が見出されます。
ということがありますので、「強い表現を使っている選択肢は怪しい」という助言がされることになるのです。
言い換えると、仮に本文で何かしっかりとした主張があるのであれば、仮に選択肢の中で強意的な表現がされていたとしても、その肢は正解になりえます。
アドバイスだけを鵜呑みにしてはいけませんのでご注意を。
センター国語の現代文の勉強法
ジャッジする能力が重要と言いましたが、この能力を身に付けるのはそう簡単なことではありません。大きく分けて二つの方法がありますので、ご紹介します。
センター型模試の過去問を解く
まずは、センター試験の過去問ではなく、センター型の模試の過去問の解説をしっかりと学習することです。
残念ながら、センター本試験の過去問の解説は、どうしても出題者が作っているものではありませんので、あまり良い内容の解説が含まれているとは言えません。
これに対して、予備校本については、出題者によってしっかりとした解説が付されています。そして、その解説には、それぞれの設問について、各肢の評価がしっかりなされているのが通常です。
ということで、このような解説の考え方をできるだけトレースできるように、数をあたって練習を繰り返すことがまずは重要となります。
傾向を知る、という意味で過去問を練習することは大切ですが、こと国語に関して言えば、むしろ予備校本の重要度は増します。
特に現代文については、どうせ一度出題された文章は再び出されることはありません。
他の科目であれば再び出題されるということはむしろ当然にありうることですが、国語という科目の性質上、そういった恩恵を受けることはありえないでしょう。それならば、むしろ予備校本から学習を進めるのも一つの効率的な手段かもしれません。
普段から感覚的ではなく論理的に物事を捉える
もう一つが、普段からできるだけ、論理的なモノの捉え方を意識するというものです。
どうにも堅苦しく思われるかもしれませんが、日本語で書かれている内容について問われているとはいっても、感覚的な判断で臨むと絶対に失敗してしまいます。
相手が何を伝えたくて、どこまでの内容が相手の主張の中に入っているのか、ということを冷静に判断するためには、普段の会話なり人が話している内容から考える姿勢を癖付けておくと役立つのではないでしょうか。
あまりしつこく友人に食い下がってしまうと嫌がられるでしょうから、そっと自分の中だけで楽しんで下さい。
センター試験国語の古文と漢文について
古典・漢文に共通して言えることですが、知識を問う問題は絶対に落としてはいけません。
選択肢のジャッジというプロセスには、絶対性がありません。どうしてもそこには難しさが残りますので、確実に正解できるかどうか、蓋を開けてみなければわからないでしょう。
暗記系の知識問題は必ず正解を
これに対して、漢字の知識や文学史の知識、あるいは慣用句などの意味を問う問題、さらに言えば単純に古典の助動詞についての問題については、知っていれば正解することが容易な問題です。
暗記する作業を国語にまで持ち込む余裕はない、と言われるかもしれませんが、センター国語は非常に大崩れする可能性がある科目であるということをしっかり分かっていれば、無理にでも時間を作る必要を分かってもらえるのではないでしょうか。
暗記は積み重ねがモノを言う
そして、これは試験直前にどうこうなる問題でもありません。高校三年間、ひいては今まで生きてきた中でどれだけ努力をしてきたかが問われることになります。
気付いたときがチャンスです。漢字・慣用句など、出来るだけこまめに、継続的に勉強しておくことは、決して無駄にはなりません。
センター試験国語の古文と漢文の勉強法
古典単語は覚えましょう、というような当たり前のことは大前提です。
その上で、センターの古典・漢文について、大切なことを指摘しておきます。
学校の授業を疎かにしない
古典・漢文については、完全に受験生が二極化する分野となります。そして、不思議なことに、これらについては学校の授業を大切にしている生徒ほど、しっかりと得点源とすることに成功しているというイメージを私はもっています。
塾で古典・漢文を受講していても、学校の授業を大切にしていない生徒は、何故か点数が伸びない傾向にあります。
これも簡単な話で、古典・漢文については、悪く言えば科目に深みがない、良く言えば基本問題で大部分が構成される傾向にある、ということが理由として挙げることができます。
もちろん、例えば和歌の解釈問題など、難しいと言われる問題は確かに存在します。が、古典の一番の難関問題と言われる和歌について、むしろ塾でこれを勉強する機会よりも、学校でじっくりと時間をかける方が多いのではないでしょうか。
古典・漢文に触れる時間が一番多いのは学校の授業
先生の良し悪しはあるにしても、多くの学生にとって、古典・漢文に触れる時間が一番多いのは、学校の授業で間違いないはずです。あと、不思議と学校の古典の先生は、みな教えるのが非常に上手な人が集まっているようにも思います。おそらく、ですが。
とすると、受験だ、よし、塾で古典の講座をとって勉強しよう、というタイプの学生よりも、高校一年生、あるいは中学生のことから、学校の授業で楽しみながら先生の話をしっかりと聞いているタイプの方が、素養が付けられていることになります。
限られた勉強時間だからこそ時間の有効活用を
さて、ということで、受験生にとって何より大切にして欲しいことは、古典・漢文については、これらを独立して学習する時間もあまりないことから、触れることができる機会はできるだけ有効に活用して頂きたいということです。
普段の学校の授業・模試の機会から、こまめに助動詞の活用や特殊な文法事項、漢文の構文など、地道な積み重ねで充分に対応できるレベルの内容が問われますし、要求される勉強量についても充分と言えるでしょう。
ありがたいことに、重要なポイントもはっきりした科目です。単語の知識、敬語関係など、学校でも重要とされるものが、そのままセンター試験でも重宝されています。
普段からサボらない、これがセンター古典・漢文の最強の勉強法です。
さいごに
特に、現代文について、「本文に書かれていることかどうか」という基準が重要であることを指摘しました。ということは「本文に書かれていること」をしっかりと読解できなければなりません。そして、その読解作業には、時間的な制約がついてきます。
月並みなことしか言えませんが、やはり普段から文章を読む癖はつけておいた方が良いかと思います。
そして、スマホやパソコンで文字を捉えるのと、実際の紙に書かれた文字を捉えるのとでは、全く脳への入り方が違います。というより、少なくとも同じものではありませんよね、正確に表現するのであれば。
とすると、若い方にはあまり関心が湧きにくいでしょうが、やはり読書習慣というものは無視できるものではないでしょう。普段文書を読まない方が、どうして人よりも素早く読解をすることができるでしょうか。何事も経験と反復でしょう。
ちなみに、有名どころの本であれば、あれこれと手にとっているうちに、試験問題で出題されることもあるかもしれません。
かなり間接的な形ですが、読んだことがある内容が出題されるという恩恵に与ることができるかもしれない、という欲をもって読書への原動力とするのも立派な受験対策と言えるのではないでしょうか。